今、最も使われているパソコン用OSが「Windows 10」です。Windows 10はMicrosoftが開発したOSであり、今もなお日々更新されています。 そのため、もちろん無料で利用することはできず、「ライセンス認証」が必要になってきます。ですが、パソコン購入時は良いものの、OSの再インストール時などはライセンス認証の知識が必要になってきます。 ライセンス認証の方法について説明するのが一番手っ取り早いかもしれませんが、Windows 10についてはいくつか方法がありますので、仕組みからすべて解説していきます。
なるべくわかりやすく解説していきます。
※わかりやすく説明するために、厳密には実際の仕組みとは異なることがございます。
Windows 10のライセンスとは?
まず最初に、Windows 10における「ライセンス」とは何なのかについて解説します。
ライセンスとは「利用しても良い」という免許
ライセンス(License)は日本語で「免許」という意味です。免許と言ったら自動車免許などがありますね。Windows 10のライセンスも同じで、「利用しても良い」という証になるのです。
ちなみに自動車免許においては教習所で学んで合格したら授与されますが、Windows 10のライセンスは「お金」で取得します。Windows 10も商品なのです。
ライセンスが無いと…
そしてライセンスが無いと、利用できなくなっていきます。つまり、Windowsの機能が徐々に使えなくなっていき、およそ1か月後にはほとんどの機能を使えない状態になります。
これは自動車免許でも同じです。ライセンス(免許)を持っていないと自動車を運転することができなくなります。ただ、Windows 10は自動車とは違って、ライセンスを持っていないことが判明してもすぐに機能が利用できなくなるわけではなく、1か月程度の猶予があります。
ライセンス認証を行う2つの方法
Windows 10において、ライセンスを持っている事を証明するためには「ライセンス認証」という手続きが必要になってきます。そしてライセンス認証には大きく分けて2つの方法があります。
- プロダクトキーライセンス認証
- デジタルライセンス認証
ではそれぞれの仕組みについて説明していきます。
プロダクトキーライセンス認証
プロダクトキーライセンス認証は、文字通り「プロダクトキー」による「ライセンス認証」です。プロダクトキーはWindows 10の商品番号のようなもので、そのままライセンスキーとして利用することができます。
なのでここでは、プロダクトキー = ライセンスキー という認識で大丈夫でしょう。
[dic term=”ライセンスキー”]
このようなシールに記載されていることが多いです。このコードは25文字となっています。

主に製品パソコンの裏側や側面にこのようなシールが貼られています。これがWindows 10の「ライセンスキー」なのです。そのため、このコードを他人に見せるのは危険です。
認証の仕組み
プロダクトキーによるライセンス認証の仕組みはいたってシンプルです。

Windowsのインストール時やインストール後にプロダクトキーを入力すると、直ちにMicrosoftに通信され、有効なプロダクトキーかどうかが確認されます。
この時、他のパソコンで使われていない、しっかりとしたプロダクトキーだということが判明したら、初めてライセンスが授与されます。ちなみにWindows 10 HomeとProは区別しなければならないので、Windows 10 HomeのプロダクトキーではWindows 10 Proの認証は通りません。 なおその時はその旨をしっかりと伝えてくれます。
認証履歴
そして認証が完了したら無事OSの機能をフルで使えるようになります。この時、認証の後に「認証履歴」が記録されます。

パソコンは多くのパーツによって構成されていますが、Microsoftはパソコン内のパーツ情報を取得して、管理コードを決定します。例えば上の例の場合は様々あるパーツの情報を複雑な計算で組み合わせたら「PC1000」という名前になりました。 なお、この管理コードを生成する仕組みについてはあまり明かされていません。ですが私の経験としては、このコードを決定させるほとんどの要素は「マザーボード」と呼ばれるパーツにあると実感しています。
つまり、マザーボードを交換する時、このコードが大きく変わるのです。
[dic term=”マザーボード”]
なぜマザーボードが重要なのかというと、ほぼすべてのパーツが接続されている上に、パソコン上で頻繁に交換されないパーツだからです。 なお、この管理コードはパーツの種類が重要なわけではありません。つまり、同じ型番のマザーボードだからと言って同じ管理コードになるわけではなく、固体同士で異なってきます。
そのため、世界に一つしかない管理コードを生成することができます。
そして、一度ライセンスが認証されると、この管理コードをMicrosoftが記録し、「PC1000はWindows 10認証済み!」と記録されます。これがWindows 10のライセンス認証履歴となるのです。
この仕組みはこの後説明する2つ目のライセンス認証方法「デジタルライセンス認証」に深くかかわってきます。
デジタルライセンス認証
続いてはデジタルライセンス認証になります。
デジタルライセンスとは?
先ほど、パソコン固有の管理コードが生成され、Microsoft側で「PC1000=OK!」となると説明しました。あれが見かけ上のライセンスになります。これを「デジタルライセンス」と言います。
認証の仕組み

そしてOSをインストールする時に、「プロダクトキーがありません」を選択しても、先ほどと同じ「PC1000」というパソコン構成であれば、すなわち同じパソコンであれば、Microsoft側で「PC1000 = OK!」と記録されているので即ライセンスを授与してもらえます。これがデジタルライセンス認証です。
もちろん「PC1000 = OK!」という記録はMicrosoftが持っているものですので、インターネットに接続しないとデジタルライセンス認証を行うことはできません。
OSの再インストール時
一度プロダクトキー等でライセンス認証を行うと、この「デジタルライセンス」が授与されますのでOSの再インストール時にプロダクトキーは必要なくなります。もちろん同じプロダクトキーなのであればプロダクトキーによる認証も可能です。
他のプロダクトキー
管理コード(PC1000)とプロダクトキーは結びつけられています。そのため、PC1000に関連付けられているプロダクトキーとは異なるプロダクトキーを利用しようとすると、警告が表示されます。
そのため、PC1000を中古品として販売したとしても、購入者は別途プロダクトキーを用意する必要はありません。
ハードウェア構成変更時
なお、ここで注意しなければならないのは、デジタルライセンス認証が通るのは管理コードが近い場合ということです。つまり、パソコンのパーツ構成が大きく変わると、生成される管理コード自体が全く異なるものになりますので、「PC1000 = OK!」は適用されなくなります。すなわち

CPUやHDDなどのパーツを交換するだけで見た目が変わるわけではないので図は極端なのですが、このようにハードウェア構成を変えると、新たに別の管理コードが生成されてしまいます。この場合、「PC1050」という管理コードになるとすると、PC1000はもう居ないのです。

この時、OSをインストールするといつも通りデジタルライセンス認証を授与できるか確認されますが、Microsoft上では「PC1050」という管理コードのパソコンには「ライセンス認証履歴」が存在しないため、認証することができません。 そして新たなプロダクトキーによってライセンス認証を行わなければならなくなるのです。
つまり、Microsoft上では別のパソコンとして認識されているイメージです。
ハードウェア構成変更の許容範囲
しかしながら、管理コードが少しだけしか異ならない場合は、同じパソコンとして扱われるのでデジタルライセンス認証が通ります。この線引きはあまり公開されていないのですが、私の経験としては
「マザーボードが交換されたとき」
に別のPCとして扱われると感じています。ここはよく勘違いする人がいるのですが、HDDを交換したくらいでは全く問題はありませんし、CPUの交換もほぼ影響がありません。大事なのは「マザーボード」になります。

つまりイメージでいうと上の通りで、CPUやHDDなど、比較的頻繁に交換されるパーツの変更時は管理コードがあまり変化せず、そのままデジタルライセンス認証が通るのに対して、
マザーボードなどほとんど交換されないパーツの変更時は管理コードが大きく変化し、全く違うパソコンだと認識されるのでデジタルライセンス認証が通らなくなります。
ただ、Microsoftのホームページによると
マザーボードの交換など、ハードウェアを大幅に変更した場合は、Windows 10をライセンス認証できなくなる可能性があります。
と濁されていますので、必ずしもマザーボードの交換時だけとは限らないことに注意してください。ただ、私はこれまでに、マザーボード以外のすべてのパーツを交換したときでもデジタルライセンス認証が通ったことがあるので、おそらくマザーボードだけが重要です。
つまり、極端な話、中古品としてパソコンが売られているときに、「Windows 10が入っているHDDが付いています」と説明されていても、マザーボードが抜かれていたらデジタルライセンス認証は通りません。
逆に、HDDすらないパソコンでも、Windows 10の認証履歴があるマザーボードさえついているのならば、デジタルライセンス認証を行うことができます。 そのため、市場に出回っているほとんどの中古マザーボードでデジタルライセンス認証を行うことができます。
マザーボード交換時のライセンス認証
マザーボード交換など、ハードウェアを大幅に変更した場合(管理コードが大きく異なる場合) に、デジタルライセンス認証が通らないことはわかりました。では、この場合どのようにしてライセンス認証を行えばいいのでしょうか。
認証履歴をMicrosoftアカウントに紐づける
認証履歴をMicrosoftアカウントに紐づけることで対処することができます。つまり、認証をハードウェアに関連付けるのではなく、Microsoftのアカウントに直接関連付けるのです。
Microsoftのアカウント(無料)を持っているなら、非常に簡単に紐づけることができます。 その方法としてはパソコンにMicrosoftアカウントを追加するだけです。

設定の「更新とセキュリティ」>「ライセンス認証」からアカウントを追加することができます。

そしてこの状態で、マザーボード等の変更をします。そしたら予想通りデジタルライセンス認証を行うことができません。

そこでトラブルシューティングを選択します。

トラブルシューティングが終わると、上のような画面が出るので、「このデバイス上のハードウェアを最近変更しました」を選択します。そしたら次の手続きで紐づけられた自分のアカウントにログインすることで、再ライセンス認証を行うことができます。
プロダクトキーがある場合
プロダクトキーがある場合は、

プロダクトキーを変更します、から認証の手続きを行うことができます。
ただ、マザーボードを交換するのであれば認証情報をアカウントに紐づけることで、ライセンスを無駄なく使用することができますのでそちらの方が良いです。
以上、Windows 10 のライセンス認証の仕組みでした。
Microsoft公式ホームページ等を見て本気で学んでこの記事を作りましたが、無責任なことに、一部解釈が誤っている場合がございます。そのため、あくまで「イメージ」だと思って鵜呑みしないようにしてください。
また、間違った情報がありましたらお問い合わせかコメントにて指摘してくださると助かります。