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いつまで経っても有機ELのMacBookが登場しない6つの理由

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AppleのMacBookに関する噂情報はたびたび見かけますね。 そして半年に一回くらい、「有機ELディスプレイ搭載のMacBookが搭載されるのではないか?」という噂も見かけます。

確かに有機ELディスプレイといったらとにかくきれいだし、これがMacBookにも採用されるって考えたら夢がありますが、正直のところ有機ELディスプレイを搭載したMacBookシリーズが登場する可能性は著しく低いでしょう。

今回はその理由を説明していきます。

MacBookシリーズのディスプレイについて

そもそも現状、MacBookシリーズにはどのようなディスプレイが採用されているでしょうか。

ちょっとMacBookのディスプレイの歴史を振り返ってみました。ここでは新しいディスプレイ技術が真っ先に取り入れられるMacBook Proに限定しました。2006年から今に至るまでみっちり液晶ディスプレイが採用されているわけですが、その方式は徐々に変化していっています

最初はTN液晶とよばれる(今としては)比較的安価で視野角があまり良くなく、色味もあまり良くないディスプレイが使われていましたが、2012年から早くも色味や視野角などが改善されたIPS液晶が採用されるようになりました。

そして2016年からDCI-P3に準拠し、より広い色域を扱えるようになりました。 そして30ビットカラーに対応したり、True Toneテクノロジー(ホワイトバランス自動調整) に対応したりして、2010年台後半はディスプレイが急速に進化していっています。

そして2019年にはノートパソコンとしてはかなり高輝度である500ニトを実現し、2021年にはついに長年期待されていたミニLEDディスプレイ」技術が採用されました。

同時に、最大120Hzリフレッシュレートを実現するProMotionテクノロジーにも対応し、ディスプレイが急速に進化しました。

ミニLEDと有機ELの違いって?

英語ではMini-LED , OLEDと訳され、なんだか似ている両者ですが、全然違います。詳しくは以下の記事で説明していますので、ぜひご覧ください。

有機ELを超える? 新技術「ミニLEDディスプレイ」を徹底解説【図解】

ミニLED

ミニLEDをイメージして作ってみた図ですね。ミニLEDバックライト方式ディスプレイは液晶ディスプレイですので、

バックライトが液晶を照らして、光がカラーフィルターを通って一つの画素ごとに一つの色が完成するといった流れになっています。

従来の液晶ディスプレイではバックライトとして採用されるLEDが画素に対して比較的大きく、輝度を局所的に調節するのが困難でコントラスト比などもあまり高めることができませんでした。

しかしミニLEDというより小さなLEDをバックライトとして採用することで、より細かく輝度を調節できるようになり、例えば黒を表示したい部分だけバックライトを切るなどしてよりコントラスト比を高めつつ電力効率も高めることができるようになりました。 加えて、単純にLEDの数が増えたおかげで全体としての輝度を高めることが実現できました。

その結果MacBook Proでも驚異の1600ニトの輝度を実現することができるようになったわけですね。

有機EL

有機ELディスプレイは液晶とは異なります。自発光有機材料が画素として使われていますのでバックライトは必要ないうえに、画素単位での輝度や色の調整ができますのでコントラスト比を非常に高めることができます

ただし非常にコストが高く、例えばテレビでも有機ELディスプレイ採用モデルは液晶に比べて二倍くらいの値段がしたりします。

両者の違い

両者の違いをめちゃくちゃ簡単に説明すると、以下のような感じです。ついでに、違うと思いきや意外にもあまり差がない部分についても説明します。

ミニLEDと有機ELの違い

  • 有機ELディスプレイでは焼き付きが起こってしまう
  • 有機ELディスプレイの方が薄型にできる
  • 輝度ミニLEDの方が高いと思いきや、有機ELも優勢
  • 黒の表現有機ELの方が優勢
  • 白の表現ミニLEDの方が優勢
  • 有機ELの方が比較的省電力だと言われている
  • 有機ELの方が軽いと言われているが、思ったより変わらない
  • コストは現在のところ、ミニLEDの方が比較的高いかも

こんな感じですね。有機ELディスプレイに採用されている自発光材料は有機材料であり、同じ色をずっと発していると焼き付きと呼ばれる症状が発生してしまうことがあります。

これは液晶ディスプレイでは見られないもので、有機EL特有です。

そして有機ELディスプレイではバックライトや液晶の層が必要ない分、薄型にできます。

輝度に関しては、ミニLEDの方が高められると言われていますが、実際のところiPhone 14 Proなんかは有機ELディスプレイでありながら最大で2,000ニトの輝度を実現していて、実のところそこまで差はないのかなといった感じです。

通常のディスプレイにおいては輝度が2000ニト以上あってもそこまで意味をなさないので、輝度の差はもう気にしなくても良いかもしれません。

しかし白の白っぽさというのは有機ELよりもミニLEDディスプレイの方が優秀であると言われており、逆に黒の黒っぽさは有機ELの方が若干有利と言われています。 これは、ミニLEDディスプレイで局所的に黒を表現しようとしてもバックライトが周りから漏れる可能性が考えられるためですね。

そして消費電力については有機ELの方が比較的低いです。有機発光材料自体の省電力が低いというよりは、画素ごとにピンポイントで輝度の調節をできる分電力効率が良いといった感じです。

重量については薄型にできる分比較的有機ELディスプレイの方が軽いようですが、実際のところそこまで変わらないみたいです。

コストについては、通常の液晶ディスプレイよりは有機ELの方が高いですが、ミニLEDと比べたらミニLEDの方が若干高いといった感じでしょう。まだミニLED技術は普及され始めているところですしね。

MacBookに有機ELディスプレイが搭載されない理由

技術自体はあるのにまだ採用されていないから

iPhoneにはiPhone Xの頃から搭載されていますので、5年前ほどから技術自体はあるようです。そしてそこから毎年、コンスタントに新しいiPhoneに採用されています。 そのためAppleの有機ELディスプレイの技術は非常に高く、MacBookにも採用することは容易にできるでしょう。

そこで採用していないのはコストが高いからという理由もありそうですが、新型MacBook Proで既に高コストなミニLEDディスプレイが採用されていることを考えると、一概にそうとも言えない気がします。

それに有機ELディスプレイはミニLEDディスプレイの進化系というわけでもなく、むしろミニLEDディスプレイの方が新しい技術です。ミニLED技術が進化してさらに小さなLEDを扱えるようになると、やがて画素自体にLEDを採用することができるようになり(マイクロLED技術) 有機EL方式と液晶方式の良いトコ取りな完璧なディスプレイを作ることができるのです。

マイクロLEDディスプレイとは? メリットから仕組みまで【図解】

そのため、ミニLEDディスプレイ採用からの有機ELディスプレイ採用という流れにはならないでしょう。iPad Proについても同じことが言えそうです。

焼き付き防止のため

スマートフォンは比較的画面が小さく、一つのアプリを画面いっぱいに表示して使うことが多いです。また、同じアプリをずっと使うのではなく、コロコロ切り替えて使うことが多いでしょう。そのため、有機ELディスプレイの欠点である焼き付きの起こりやすさについて、そこまで気にしなくても良さそうです。

しかしながらノートパソコンではメニューバーなどがずっと同じ場所に表示されていたり、同じ作業を比較的長時間行ったりする場面が多く、有機ELディスプレイだと画面の焼き付きが起こってしまう恐れがあります。その点、ミニLEDディスプレイではそのような心配はいりません。

画素密度をそこまで高めなくて良いから

画素密度を高めることに関しては比較的有機ELディスプレイの方が優勢です。最近ではMicro-OLEDという技術もあり、わずか数インチに4K程度の画素を敷き詰めることができたりします。これはAppleのVision Proに採用された技術ですね。

しかも有機ELディスプレイでは画素密度を高くしたところでそれぞれの画素が独立して発光するという特性自体は変わりませんので、コントラスト比を維持することができます。

一方で現在のミニLED技術ではバックライトとしてミニLEDが採用されているだけなので、画素密度を高くしつつコントラスト比を維持しようとしたらその分、さらに細かいLEDを利用しなければなりません。 LEDを細かくする技術は非常に高度であり、その点、スマートフォンなどの高画素密度・小型のディスプレイが求められる場面においてはあまり向いていないと言えます。

逆に、ノートパソコンなど比較的画素密度が低くても良く、比較的大画面である場面においてはミニLEDディスプレイが活躍できます。

実際、iPhone 14 Proの画素密度は460 ppi程度ですが、MacBook Proの画素密度は254 ppi程度です。

重量、薄さの制約がスマートフォンに比べて緩いから

ノートパソコンは手にもって使うわけではないので、スマートフォンに比べたらまだ重量が重要ではありません。それに薄さに関しても、スマートフォンほどは重視しなくても良いと言えるでしょう。

そのため、有機ELディスプレイはスマートフォンなどに採用するべきですが、軽さ、薄さのためにノートパソコンに採用するのはちょっと違うかもしれません。

というか液晶ディスプレイを採用している最新のMacBook Proについても、ノートパソコンの中ではかなり軽量かつ薄型の方であり、仮に有機ELディスプレイを採用したところでこれ以上薄く・軽くなれるかといったらそこまで期待はできません。 それよりは処理装置等を含むロジックボードやバッテリーなどを改善した方が良さそうです。

ノートパソコンを暗い場所で使うことが少ないから

iPhoneなどのスマートフォンは夜道や布団の中、カラオケの中など、暗い場面で使うことも大いにあると思います。 しかしノートパソコンはそういった場所で使うことは比較的少ないでしょう。有機ELディスプレイは黒をより黒くすることができるため、比較的ディスプレイを暗く設定しているような場面でもコントラスト比を高めることができる上に、消費電力を抑えることができます。

しかしノートパソコンでは使う場面的に、そのような恩恵を受けることはあまりできないのではないでしょうか。

というか正直ノートパソコンにスマートフォンほどのコントラストを求める必要はそこまでないですよね。現にAppleについても、色に対するこだわりは圧倒的にiPhoneの方があると思います。

有機ELディスプレイの寿命が比較的短いから

有機ELディスプレイは液晶ディスプレイおよびマイクロLEDディスプレイ等と比べて比較的寿命が短いと言われています。 最近ではスマートフォンは一日中起動しっぱなしでバッテリーも酷使するというのが普通になってきていて、スマートフォンは2,3年で乗り換える人が多かったりしますので、有機ELディスプレイの寿命の短さはそこまで気にならないでしょう。

しかしMacBook Proのようなノートパソコンについては2,3年で乗り換える人は少ないと思います。使い方的にスマートフォンよりもバッテリーの寿命を延ばすことができたり本体の傷などの損傷も比較的抑えることができると言えそうです。 そんな中で有機ELディスプレイを採用してしまったら寿命が気になってしまうかもしれません

その上、スマートフォンよりも画面焼き付きが発生しやすそうな場面が多いと考えられるので、さらに寿命が短くなってしまいそうです。

このような理由より、MacBookシリーズに有機ELディスプレイは採用されないでしょう。iPadシリーズに関しては微妙なラインですが、iPad ProでミニLEDが採用されていることを考えたら、同様にして有機ELディスプレイモデルが登場することはなさそうです。


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