MacBook Pro 16インチモデルが発売されたの自体は2019年の事になりますが、先日MacBook Pro 16インチモデルのGPU(グラフィックボード)オプションに新しいものが加わりました。 それが「Radeon Pro 5600M」になります。
それまではRadeon Pro 5500Mが最高オプションとなっていたわけなので、5600Mが登場したことによって更に高性能な構成が増えたということになります。
では一体このRadeon Pro 5600Mとは何者なのでしょうか? 従来の5500Mとの違いも含めて解説していきます。
この記事を1文で説明すると
- MacBook Pro 16インチモデルに新しく追加されたGPUオプション「Radeon Pro 5600M」は従来の5500Mよりも30%程度性能が高いが、その分オプションの価格もかなり高くなっている
Radeon Pro 5600Mとは?
そもそもグラフィックボードってなんだよって話ですが、グラフィックボード(GPU)はディスプレイに映像を表示するための処理装置です。主にゲームプレイ等の処理において高性能なGPUが必要になってきます。
[dic term=”GPU”]
そしてRadeon Pro 5600MというのはAMD社製のグラフィックボードとなっていて、最新の「Naviアーキテクチャ」がベースとなっています。
それではその仕様について従来のRadeon Pro 5500M、それから5300Mと比較していきましょう。
Pro 5600M | Pro 5500M | Pro 5300M | |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Navi | Navi | Navi |
演算ユニット | 40 | 24 | 20 |
コア数 | 2,560 | 1,536 | 1,280 |
最大動作周波数 | 1,035 MHz | 1,300 MHz | 1,250 MHz |
VRAM | HBM2 8GB | GDDR6 4 / 8GB | GDDR6 4GB |
TGP | 50W | 50W | 50W |
浮動小数点演算 FP32 | 5.3 TFLOPS | 4.0 TFLOPS | 3.2 TFLOPS |
このようになっています。アーキテクチャはすべて最新のNaviとなっており、7nmプロセスが採用されています。 そして処理コアのまとまりの数を表す「演算ユニット数」には大きな違いが出ています。
最低オプションの5300Mでは20基しかありませんが、5600Mではその倍の40基となっています。 そしてその分コア数も倍になっています。こうして見てみると5300Mから5500Mへの進化よりも、5500Mから5600Mへの進化の方が大きいものになっていることがわかります。
そして動作周波数については公式ホームページ上の表示では5600Mが一番低くなっています。ただこれに関してはもしかすると表記が誤っていて、本当は1,350 MHzなのかもしれません。
そしてグラフィックボード専用メモリーについては5600MだけHBM2メモリを利用していて、それ以外はGDDR6となっています。
[dic term=”HBM”]
HBMメモリはGDDR6などのVRAMに比べると非常に帯域幅が広くなっていて、機械学習等で活躍します。ただ正直ゲーム処理等についてはGDDR6と大差ないと思います。
そして容量については5300Mは4GB、5500Mには4GBと8GBの二種類があり、5600Mは8GBだけとなっています。 理論上の計算能力については5500Mよりも30%程度上昇しています。
この進化は5300Mから5500Mへの進化よりも大きなものとなっています。
Radeon Pro 5600Mの性能とは?
技術仕様も重要ですが、やはり一番重要になってくるのは実際にどれくらいの性能が出るのかです。
まだあまりベンチマークが測定されていませんのであくまでも仕様を基にした目安になりますが、以下のようになっています。
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この値はPassmarkを参考にしたものになります。
一番左にあるのが今回登場したRadeon Pro 5600Mで、その右に比較用にMacBook Pro 16インチモデルの他のオプションである「5500M」と「5300M」、それからNvidiaのミドルレンジGPU「GTX 1660」も載せています。
この値がだいたい1万程度あれば最新のゲームでもそこそこ快適にプレイできるくらいです。そのため、Radeon Pro 5600M程度の性能があれば十分にゲームを楽しむことができるでしょう。ただし、ゲームが目的なのであれば最初からデスクトップゲーミングパソコンを購入する方が圧倒的にコストパフォーマンスが高いと思います。
他にも、グラフィック性能が向上している分動画のエンコード等も短縮することができそうです。
Radeon Pro 5600Mの価格
今までのオプションとは圧倒的な差をつけたRadeon Pro 5600Mですが、気になるのは価格です。
グラフィックボードオプションにだけ焦点を当てると以下のような構成になっています。
デフォルト | Radeon Pro 5300M | 0円 |
---|---|---|
1 | Radeon Pro 5500M 4GB | + 10,000円 |
2 | Radeon Pro 5500M 8GB | + 20,000円 |
最高構成 | Radeon Pro 5600M | + 80,000円 |
やはり性能が向上している分価格もかなり向上していますね。5300Mと5600Mの性能差は二倍あるか無いかといった感じではありますが、実に8万円も価格がひらいています。おそらくこの中であればRadeon Pro 5500M 4GBを選ぶのが一番良いかと思います。ただ、明確にRadeon Pro 5600Mの性能が必要だとわかっている場合や、意地でも最高オプションにしたいという人は5600Mもおすすめです。