Appleが販売しているデスクトップパソコンの中に「iMac」がありますが、そんなiMacにはストレージオプションとして「Fusion Drive」というものがあります。
HDDやSSDならわかりますが、Fusion Driveというのは多くの人が聞いたことないと思います。 そこでこの記事ではiMacで採用されているFusion Driveとは一体何者なのか? その仕組みまで徹底解説していきます。
この記事を2文で説明すると
- Fusion DriveとはApple独自のドライブで、少量のSSDと大容量のHDDを組み合わせることで両者良いとこドリなドライブを実現している
- iMacのオールSSD化にはまだ時間がかかりそう
Fusion Driveとは?
Apple独自のドライブ
同じような仕組みのドライブは他にもあると思いますが、Fusion Driveという名前を付けているのはAppleのみです。そのため、Fusion Drive = Appleで、一般的にFusion Driveと呼ばれているドライブがあるわけではありません。
そしてこのFusion Driveというドライブが、既存のHDDやSSDなどとはまた違うスタイルをとっています。
HDDとSSDを組み合わせたドライブ
早い話Fusion DriveというのはHDDとSSDが組み合わさったドライブになります。といっても組み合わせて使っているだけで、二つが統合されて一つのドライブを形成しているわけではありません。
HDDとSSDそれぞれの特徴や仕組みについては以前当サイトで投稿した記事をご覧ください。
この記事を読めばわかるのですが、SSDはHDDに比べて非常にデータ通信速度が速いです。特に細かいファイルの移動なんかは得意です。 ですが大容量化しようとすると多大なコストがかかってしまいます。 そのため、動画や写真の保存など、大した通信速度が必要とされない部分ではSSDの利用は避けたいところです。
そしてHDDは逆に、SSDと比べて圧倒的に通信速度が遅いですが大容量化してもそこまで高いコストはかかりません。
また、本当に不得意なのは細かいファイルの移動であって、動画や写真などの大きめのファイルの移動であればそこそこのデータ通信速度を発揮します。
Fusion Driveというのは要はこの二つのドライブの良いとこドリというわけです。
ではどのような仕組みになっているのでしょうか?
仕組み
では早速その仕組みについて説明していきますが、私たちが確認できる部分としては非常にシンプルになっています。

(クリックして拡大)
上の図はiMacのドライブ構成を説明したものになります。
HDD
まずHDDオプションだと本体の中央にHDDのみ設置されます。
どんなファイルであっても使われるのはHDDのみで、それがゆえに起動が遅かったり全体的に動作がもたついたりします。でもとにかく安く済ませたい人はこれで十分だと思います。
Fusion Drive
そしてFusion Driveについては本体中央にあるHDDに加えて、本体端にPCIe接続の超高速SSDが設置されます。 このSSDに容量は、1TB Fusion Driveの時は32GBで2,3TBの時は128GBとなっています。
そしてiMac本体は自動的に、よく使うファイルをSSDに格納するようにします。例えばOSの起動に使う細かいファイルだとか、ブラウザ表示のための細かいキャッシュ等です。大して容量が多くないものが主に格納されるので、基本的に32GBで十分な設計になっています。いわばキャッシュというやつですね。
そのためHDDに比べると起動が速かったり全体的に動作がサクサクしたりします。ただ、基本的にこのSSDが優先利用されるため、ある程度使うとSSDの容量がいっぱいになって結局HDDと同じようになるという意見もあります。そのためあまり普段からデータのやり取りを行わないが、たまに大量の写真や動画などを保存したいという人には向いているでしょう。


SSD
そしてSSDオプションについてはFusion DriveのHDDが無い版、つまりSSDのみということになります。 といってもSSDのみにデータを保存することになるのでFusion Driveの時よりも大容量のSSDが採用されます。もちろんその分コストが高くなります。
普段から動画編集などで大量のデータをやり取りしている、でも写真や動画などの思い出データは保存しないという人に向いていると思います。
ただ、どういうわけかiMacでは既定のHDDから256GBのSSDに換装するだけで数万円高くなるので、できるものなら外付けSSDを使いたいところです。
このように現状iMacのストレージオプションは三種類存在するわけですが、おそらく今後SSDのみになっていくのではないでしょうか。ただAppleがHDDとSSDの価格差をかなりつけていることから、まだオールSSD化への準備は進めていないことが想像されます。