パソコンで最新のゲームをプレイしたい時に必須になってくるのが「グラフィックボード」です。高性能なグラフィックボードを積んだ「ゲーミングPC」なども人気ですが、最近では既に持っているパソコンに「グラフィックボード」を自分で取り付けることによってゲーミングPCに改造するのも流行っています。
しかし残念ながらノートパソコンには大きなグラフィックボードを取り付けることができません。そこで最近注目されているのが「外付けGPU BOX」です。
では外付けGPU BOXとは一体何なのでしょうか? 図を用いて徹底解説していきます。
この記事を2文で説明すると
- 外付けGPUボックスは、ノートパソコンには無い「PCI-Express x16スロット」「グラボ用の広いスペース」「グラボ用の電源」を提供し、ゲーミングデスクトップパソコンと同じ環境を作ることができる
- 外付けGPUボックスは映像出力以外にも、USBハブとして使えたり、ノートPCを充電することができるものが多い
外付けGPU BOXとは?
それではまず最初に、外付けGPU BOXとは何なのかについて説明します。
そもそもGPUとは?
GPUというのは映像を処理する装置です。多くのCPUにはこの「GPU」が内蔵されていますが、あまり性能の高いものは内蔵されていません。そのため、より高いGPU性能を必要とする「3Dゲーム」なんかでは、別に「グラフィックボード」という映像処理に特化した拡張ボードを取り付けるのが一般的です。
CPUに内蔵されているGPUと、映像処理に特化した「グラフィックボード」の映像処理性能の違いとしてはこれくらいあります。
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左側は、IntelのトップクラスCPU「Core i9-9900K」に内蔵されているGPUの性能になりますが、最強CPUなのにとても性能が低くなっています。
対して右側はNvidiaの「GTX 1660 SUPER」というグラフィックボードになります。こちらは数万円程度で簡単に手に入れることができます。
このように、グラフィックボードを取り付けることで格段に映像処理性能を上げることができます。ただ、動画鑑賞等ではそこまでのグラフィック性能は必要ないので、CPU内蔵グラフィックスでも全く問題はありません。
高いグラフィック性能が必要とされるのはほとんどの場合は「3Dゲーム」プレイ時です。
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外付けGPU BOXとは?
そして最新のゲームを快適にプレイしたい人は、この「GPU」をパソコンに取り付けることでそれを実現することができます。 パソコンに取り付けるGPU(グラフィックボード)は長いボード上になっていて、デスクトップパソコンの中の「PCI-Express」というソケットに取り付けます。

このパソコンの場合サイドパネルが透明ですので見やすくなっていますが、グラフィックボードはこのような感じです。「GEFORCE GTX」と光っています。
そしてこのグラフィックボードに映像ケーブルを挿すことによってモニターに映像を出力することができます。 このように、デスクトップパソコンでは後から簡単にグラフィックボードを設置することができますが、ノートパソコンについてはこのようなカードを設置するスペースが無ければソケットも存在しないので、後からゲーミング仕様に改造するのは非常に難しいです。
そこで誕生したのが「外付けGPU BOX」です。文字通り、GPU(グラフィックボード)が入っている箱なのですが、この箱の中にグラフィックボードを取り付けるスペースとソケットがあります。
つまりノートパソコンの中にはないものを補えるのです。
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仕組み
外付けGPUボックスはノートパソコンには無いものを補うことで、デスクトップパソコンのようにグラフィックボードを取り付けることができると説明しましたが、実際に仕組みについて理解しないと使いこなすのは難しいです。 というのも、外付けGPU BOXが使えないノートパソコンはたくさんあるためです。

文字が小さいかと思いますが、クリックして拡大することができます。
GPUというのは映像を処理する専用の装置で、基本的にはCPUから発せられた信号を「映像信号」に変換する装置になります。
内蔵GPU
デスクトップパソコンの内部にグラフィックボードを取り付ける方法では、CPUが「PCI-Express」と直接つながり、グラフィックボードがPCI-Expressと直接つながっています。
そして、補助電源が必要なものは電源装置から「補助電源ケーブル」を挿すことによってグラフィックボードを動かすことができます。
そしてグラフィックボードから直接映像ケーブルを出し、モニターに接続することで映像出力を行うことができるのです。
外付けGPU
ノートパソコンについても「CPU」というパーツは存在しますが、大きなグラフィックボードを取り付けられるような「PCI-Express」スロットは存在しません。しかしスロットが存在しないだけで、PCI-Expressの通信を行うことはできます。
そこで、スロットを外部のGPU BOXの中に設置して、両者を「Thunderbolt」ケーブルでつなぎます。Thunderbolt端子による通信においては、CPUと直接つながることができます。そのため、Thunderboltケーブルを介して図右側の「内蔵GPU」と同じようなスタイルをとることができます。
つまり、CPUとPCI-Express、PCI-Expressとグラフィックボードを直接つなぐことができるのです。 ただ、ノートパソコンはデスクトップパソコンよりも電源が小さいため、グラフィックボードへの電力供給を行うことはできません。
そこで外付けGPU BOXの中にある電源から電力供給を行うことができます。
つまり、外付けGPU BOXはノートパソコンにはない
- 広いスペース
- PCI-Express x16ソケット
- 強力な電源
を備えているのです。
ただし、CPUに直接つながることができる「Thunderbolt」をサポートしている必要があります。現在のThunderbolt 3 端子は「USB Type-C」(下図)となっており、文字通りUSBケーブルと同じ形になります。

この端子は最近のノートパソコンには必ずと言っていいほど一つはついています。しかしこの端子が付いているからといってThunderbolt 3をサポートしているとは限らず、中にはUSB接続のみサポートしている製品もあります。USB接続ではこの外付けGPU BOXを利用することができないので、Thunderbolt 3をサポートしているパソコンなのか確認する必要があります。
外付けGPU BOXではこんなことができる
では一体、このボックスをどのように使うのでしょうか。それは簡単です。基本的にはボックスに電源をつなぎ、ボックスから専用の端子をパソコンにつなぐだけで完了です。
あとは内蔵しているグラフィックボードのドライバーをインストールすれば、完全にグラフィックボードとして使えるようになります。 そして以下のような使い方ができます。
※製品によってはできないこともあります
外部モニターに出力

GPUボックスにも普通の「グラフィックボード」が入っていて、そこには映像出力端子がありますのでそこから外部モニターに映像出力を行うことができます。
この時、ノートパソコン本体ではノートパソコンに内蔵されているGPUを使って内蔵モニターに映像を出力することができる場合が多いです。
内蔵モニターに出力

上の方法だと、外部モニターを持っていない人では映像出力を行えませんし、そもそも外部モニターは見ずらいという事件が発生します。そこでほとんどのGPUボックスではノートパソコンの内蔵モニターに映像を出力することが可能です。
これだと外付けGPUボックスを付けていない状態と同じでないかという話ですが、信号自体はしっかりとGPUボックスを介していますのでグラフィックボードの恩恵を受けることができます。
なお、この場合はケーブル1本で上り信号、下り信号を通信しなければならないので若干性能が落ちてしまうようです。
そしてもちろん、内蔵モニターと外部モニター両方に出力することも可能です。
USBハブ

多くのGPUボックスにはUSBハブが付いています。つまり、映像処理のやり取りを行っているケーブルで、ついでにUSB機器の通信を行うことができるのです。ノートパソコンは比較的USBポートが少ないと思うので非常に助かるでしょう。この場合、USB機器をたくさん接続しても映像処理能力にはほとんど影響ありませんので大丈夫です。
充電

外付けGPUボックスには、ノートパソコンにはない「強力な電源」が付いているので場合によってはノートパソコンを充電することも可能です。もちろんこの場合も映像処理に使われているケーブルを通して行うことができます。
ただし、ノートパソコン本体がUSB PDをサポートしていることが必須です。また、GPUボックスにもよりますがそこまで高速では充電できないようです。
つまりこの外付けGPUボックスは単に外付けグラフィックボードとしてだけではなく、様々な使い方ができるということです。