Appleが製造しているタブレットと言えばiPadですが、一部のiPadにはAppleの「A~X」と呼ばれる独自の処理装置が採用されています。そして2020年の現在のところA12X、(およびA12Z)チップまで登場していますが、その後継機としてA14Xチップが噂されています。 この記事ではそんなA14Xチップの仕様や性能について説明していきます。 なお、まだAppleから公式で発表されたわけではありませんのであくまでも噂情報になりますのでご注意ください。
この記事を2文で説明すると
- Apple A14Xチップは2020年の後半~2021年前半頃に登場し、iPad ProやARMベースのMacパソコンに採用される見込み
- TSMCの5nmプロセスノードを採用しつつ、その性能はIntel Core i9-10980HK CPU(ゲーミングノートパソコン)並みになるのではないかと期待される
A~Xチップとは?
ものすごくわかりにくい表記の仕方をしていますが、A~Xチップというのは「~」の部分に数字が入るAppleの処理装置の事を指します。例えば2019年頃のiPad Proに搭載されていたのは「A12X」チップでした。iPhoneなどにもAppleの独自チップ(ARMアーキテクチャのもの)が採用されていますが、そちらについてはXが付いていないモデルになります(iPhone 11シリーズはA13)
[dic term=”ARMアーキテクチャ”]
iPhone XsなどにはA12チップが搭載されていましたが、こちらはiPad Proに搭載されていたA12Xチップと名前が似ていますが仕様は結構異なります。同じような世代に開発されたということで基本的なアーキテクチャについてはさして変わりませんが、コアの種類やコア数、そして内蔵されているGPUなどに差異があります。 その結果、同じ「A12」系列であっても性能に大きく差が出るのです。実際にA12チップとA12Xチップの差はこれくらいあります。
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ここではA12チップが搭載されたiPhone XS Maxと、A12Xチップが搭載されたiPad Pro 2018年モデルのマルチコアスコアを比較しています。Geekbench v5になります。ちょうど二倍とまではいきませんが、二倍に近いくらいA12Xチップの方が性能が高いことがわかります。 同じA12シリーズでもここまで性能に差が出るのです。
ただ、もちろんその分消費電力が多かったり発熱量が大きかったり、チップが大きかったりしますので比較的大型のiPadに採用されています。
A14Xチップの特徴
それではA~Xシリーズチップについてざっと説明したところで、今回噂されているA14Xチップの特徴について説明していきます。もちろん噂情報です。
1.TSMCの5nmプロセスノード
A14Xと呼んでいますが、機械学習等に特化したニューラルエンジンを積むと考えられるので正式には「A14X Bionic」というでしょう。 そしてこちらのチップではTSMC社の5nmプロセスの半導体が利用されると言われています。TSMCはAppleのチップ以外でも様々な会社の処理装置の製造において活躍しています。iPhone XS Maxなどに搭載されたA12チップは同社の7nmプロセス半導体が利用されましたが、こちらの7nmプロセスはAMD社のパソコン用CPUにも採用されました(第三世代Ryzen CPU)
そしてTSMC社はもうすでに5nmプロセス半導体の生産に取り組んでいるわけですが、今回噂されているA14Xチップ以外でも様々な処理装置においてこの5nmプロセスが活躍すると言われています。
【大量】TSMCの5nmプロセス製品まとめ【まさかのIntel?】
5nmというのは簡単に説明すると回路の細さのようなもので、一般的に細い方が消費電力をおさえることができたり発熱量を抑えることができたり、トランジスタの数を増やすことができたりします。そのため、1コア当たりの集中的なパワーが必要になってくるようなパソコン等の機器に比べると、基本的にはスマートデバイス系の方がより細かいプロセスでの製造が望ましいところではあります。
2.ARMベースのMacにも採用
以前にAppleから、今後Macパソコンの処理装置をIntelのものから、ARMベースの独自チップへと移行していくと宣言されましたが、そのような「ARM Macパソコン」の一部の製品にこのA14Xチップが採用されるかもしれないと言われています。噂情報によるとA14Xチップは非常に高性能であるため、MacBook AirなどのエントリーモデルというよりはMacBook Proなどで採用されるかもしれません。
A14Xチップの性能
それでは続いてこのチップの性能について紹介していきます。こちらももちろん予想になります。ベンチマーク結果などのリークというよりは、これまでのAppleの独自チップの傾向から帰納的に推測した性能であるといえます。
このグラフは以下のツイートから引用したものになります。
このグラフによると、iPad Pro 2018年モデルに搭載されていたA12XチップとiPhone 12シリーズに搭載されるであろうA14チップの性能がほとんど同じで、A14Xチップについては更にA14チップの3分の2以上のスコアとなっています。そしてそのスコアは8000近くになっていて、その性能はもはや現在ハイエンドゲーミングノートパソコンに搭載されているような「Intel Core i9-10980HK」とほぼ同等のパフォーマンスと言えます。 といっても単純にこのGeekbench v5上での話にはなりますが、それでも並みのゲーミングパソコン程度の性能は保有することになることが期待されます。
登場日
A14チップを採用するiPhone 12シリーズが2020年の後半に登場することが予想されていて、A14Xチップの登場はそれ以降になりますので2021年以降になる可能性が高いです。 そしてARM MacやiPad Proなどに広く採用され、今後5年程度は色あせることなく活躍してくれるのではないかと期待されます。
参考記事:https://wccftech.com/apple-a14x-bionic-leaked-performance-results-comparable-to-core-i9-9880h/