近年パソコンの進化も順調に進んではいますが、一方でスマートデバイスは急成長しています。
2020年に発表されたAppleのiPad Proは同社のMacBook Pro 13インチモデルに迫る性能を保有していて、単純な性能比較ではMacBook Airを上回っているとのことです。このようにスマートデバイスがパソコンの性能を上回りつつある世の中ですが、そんな中でSamsungの次世代GalaxyスマートフォンがもはやゲーミングPCになるかもしれないという話が出ています。
この記事では詳しく説明していきます。
この記事を2文で説明すると
- AMDのRDNA世代Radeon GPUを内蔵したGalaxyスマートフォンが2021年中に登場するかもしれない
- Galaxy S20シリーズの二倍を超え、パソコン用GPUに迫るゲーム性能を保有することが期待される
次世代GalaxyスマホのGPUとは?
パソコンにおいてもスマートフォンにおいても、「ゲーミング仕様」の称号が与えられるためにはしっかりとしたGPU(グラフィック処理装置)を保有することが必須になってきます。
[dic term=”GPU”]
そしてこの記事で「次世代のGalaxyスマートフォンはゲーミングPCになる」と説明したということはつまり、次世代のGalaxyスマートフォンのGPUがかなり高性能なものになるということです。
では一体どのようなGPUが搭載されるのでしょうか?
AMD Radeon GPU
まだ噂程度の話ではあるのですが、次世代のGalaxyスマートフォンにはAMD社のRadeonシリーズGPUが搭載されると言われています。というよりはSamsungとAMDが提携したことでSamsungがRadeon GPUを搭載した何らかのチップを製造することが予測できますので、それがSamsungのフラッグシップである「Galaxyシリーズスマートフォン」に搭載されるだろうという話です。ちなみにそのチップというのが最初は「Exynos 1000」になるかもしれないとのことです。ExynosはSamsungの独自チップで、一部のGalaxyスマートフォンに搭載されてきました。
そして搭載されると考えられているのはRadeonシリーズの中でも、最新のTSMC 7nmプロセスルールアーキテクチャを用いたRDNA世代のNavi GPUになると考えられています。RDNA世代のGPUといえば「RX 5700 XT」などのゲーミングパソコン用のGPUや、PS5のGPU、Microsoft Xbox Series X / SのGPUなどがあります。
しかしスマートフォンのような小型デバイスへの導入は今のところ確認されていません。そしてこのRDNA世代のGPUがあの極小のスマートフォンの中に格納されるかもしれないということです。だからGalaxyスマホがゲーミングスマホになるというよりは、もはやゲーミングPCになるというイメージですね。PCではないので日本語がおかしいですが。
問題点
Radeon GPUはスマートフォンをターゲットにしているわけではないので、そのままスマートフォンに搭載してもまともに動作しないでしょう。既にベンチマークがリークしているようなのである程度の問題点は乗り越えたのかもしれませんが、まず第一に電力問題があるでしょう。
スマートフォンに搭載されているチップはパソコンのそれよりも圧倒的に小型で、低発熱、低電力で動作します。それに合わせてコア数を減らせば良いだけかもしれませんが、単にコア数を減らすだけでは電力効率が悪くなってしまうかもしれません。そのためスマートフォン用に新たに設計しなおす必要があります。おそらくPS5などのゲームコンソール向けに再設計したときよりも高度な設計が必要になるでしょう。
性能
そしてこの記事を今作っているのは、この度実際にRadeon GPUを搭載しているとみられるチップのベンチマークがリークしたためです。ではそちらを紹介していきます。
GFX Bench
今回性能リークしたベンチマークはGFX Benchのものです。GFX Benchはクロスプラットフォーム仕様となっていて、厳密に比較できるかはわかりませんがスマートフォンとパソコンを比べることもできます。
Aztec Normal
まず最初はAztecというテストのNormal部門です。
この数値は平均フレームレートを表していて、性能値と同等です。
[dic term=”フレームレート”]
Galaxy S20シリーズなどに搭載された「Snapdragon 865」の「Adreno 650 GPU」(左から二番目)と比較するとその差は歴然としています。 また、ASUSのゲーミングスマホ「ROG Phone II」などに搭載された「Snapdragon 855 Plus」の「Adreno 640(高クロック版)」と比較しても三倍程度の性能を発揮しています。
そして最新のパソコンゲームを快適にプレイしたいなら最低でも欲しい「GTX 1650」と比較してみると、勝ってはいないもののぼろ負けしている印象ではありません。この性能が極小のチップ上で実現できているのだから非常に優秀といえます。
Aztec High
続いてはHigh部門です。こちらの方が品質が高いのでより高い処理性能が必要となります。
こちらについても似たような差が出ていますね。重ための処理でも失速を起こすことなくうまく動作しています。
搭載されるモデル
最初から次世代Galaxyスマートフォンと言っていましたが、具体的には「Galaxys S30シリーズ」で早くも導入されるのではないかと言われています。
あるいはGalaxy S21というモデル名になる可能性もあります。いずれにせよ、2021年中に登場する可能性は大です。
スマートフォンゲームでそこまで重たいものは無いと思いますが、きっとゲーム以外の何らかの処理でも活躍するのでしょう。もしかするとAR / VR系の処理を得意とするようになるのかもしれませんし、スマートフォンにしてハードウェア単位でのリアルタイムレイトレーシングをサポートするのかもしれません。
Galaxy S30シリーズの特徴については以下の記事をご覧ください。