Appleが販売するノートパソコンシリーズ「MacBook」には大きく分けて「MacBook Pro」と「MacBook Air」の2種類が存在します。
AirとProの間にも大きな違いがありますが、実はProシリーズの中でも更に「13インチモデル」と「16インチモデル」の2種類が存在します。
両者では価格が大きく異なりますが、異なるのは価格とディスプレイサイズだけではありません。 この記事ではMacBook Pro 13インチモデルと16インチモデルの間には一体どのような差があるのか、解説していきます。
ただし13インチモデルについては2020年モデルが登場したことでThunderbolt 3が2ポート搭載されているモデルと4ポート搭載されているモデルの間に大きな差が生まれましたので、実質3モデルの比較について説明していきます。
この記事では参考として現在の最新モデルであるMacbook Pro 13 2020年モデル,16インチ2019年モデルの違いについて説明していきます。
見た目の違い
まずは見た目の違いについてです。

上の画像では実際に両者の大きさの違いが比較できるようにほぼ同じスケールで配置されています。基本的にキーボードの大きさやキーの配置はほとんど変わりません。 また、上部についているタッチバーにも変わりはないです。
そしていずれもシザー式キーボード、物理ESCキー、逆T字型矢印キーが採用されています。
そして16インチモデルの方が本体の奥行きが長い分、トラックパッドが広くなっています。また、ディスプレイの枠(ベゼル)がより細くなっています。
両モデルとも「スペースグレイ」と「シルバー」のカラーバリエーションが存在します。上の写真では13インチモデルはスペースグレイ、16インチモデルはシルバーとなっています。
デザインについては両者に顕著な違いは見られず、ただサイズが違うだけといった感じですね。
仕様の違い
それでは仕様の違いについて説明していきます。まずは技術仕様比較表をご覧ください。
[spec product=”Apple_MacBook_Pro_16インチ_2019@@pc__AND__Apple_MacBook_Pro_13インチ_2020_Two_Thunderbolt_3@@pc__AND__Apple_MacBook_Pro_13インチ_2020_Four_Thunderbolt_3@@pc”]
MacBook Pro 13インチモデルについてはThunderbolt 3ポートが2つのモデルと4つのモデルが存在します(両者の違いはポート数だけではないです) ので、この3製品を比較していきます。
ディスプレイ
ディスプレイについてはアスペクト比は同じでディスプレイ密度も誤差程度の違いです。すべてのモデルでRetinaディスプレイが採用されている上にP3広色域、True Toneテクノロジー、500ニトの輝度などの特徴を備えています。
異なるのは画面サイズだけという認識で良さそうです。ただ、同じディスプレイ密度でディスプレイが大きくなっているので、16インチモデルの方が解像度が高く作業性が良くなっています。
CPU
続いてはCPUの違いについてです。
[dic term=”CPU”]
13インチモデルと16インチモデルではCPUを含めた処理装置に大きな差が出ているので要確認です。
まずそれぞれのオプションについて説明します。
MacBook Pro 16インチ
CPU | Intel Core i7-9750H Intel Core i9-9880H Intel Core i9-9980HK |
---|
MacBook Pro 16インチモデルに搭載されているのはIntelの第9世代ハイエンド・モバイル向けCPUです。「H」が付いていて、13インチモデルより消費電力が高くて高性能なCPUが使われています。最上位の「Core i9-9980HK」はモバイル向けCPUの頂点に立っているともいえるCPUで、8コア16スレッドという驚異の多コアぶりとなっています。
MacBook Pro 13インチ(Thunderbolt 3 2ポート)
CPU | Intel Core i5-8257U Intel Core i7-8557U |
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MacBook Pro 13インチモデルのうち、Thunderbolt 3が2ポートのみついているものについてはまだIntelの第8世代モバイル向けCPUが使われています。他の3モデルの中で一番古いアーキテクチャが使われていて、性能も一番低いです。
MacBook Pro 13インチ(Thunderbolt 3 4ポート)
CPU | Intel Core i5-1038NG7 Intel Core i7-1068NG7 |
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続いては13インチモデルのうちThunderbolt 3が4ポートついているモデルになりますが、こちらには3モデルの中で一番新しいIntel第10世代CPUが搭載されています。そのためCPUの質としては一番よく、消費電力当たりのパフォーマンスが優秀です。
それぞれのCPU性能としては以下の通りです。
[visualizer id=”11157″]
これはPassmark値を参考にしたもので、まだ性能が出てないものに関しては既存モデルを参考に算出しました。
綺麗に性能が分かれています。16インチモデルは最小構成の時点で他の2モデルを引き離していて、最高構成時はずば抜けたパフォーマンスを発揮します。なお、動作環境によって性能は多少変動します。
グラフィックス
続いてはグラフィックス性能についてです
[dic term=”GPU”]
それぞれのオプションを見ていきます。
MacBook Pro 16インチ
グラフィックス | (Intel UHD Graphics 630 +) AMD Radeon Pro 5300M 4GB GDDR6 AMD Radeon Pro 5500M 4GB GDDR6 AMD Radeon Pro 5500M 8GB GDDR6 |
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16インチモデルについては他の2モデルと違い、CPU内蔵グラフィックスに加えてグラフィックボードを搭載しています。AMDの2019年のグラフィックボードで、最新のゲームでもそこそこ快適にプレイできる程度の性能を保有しています。グラフィックボードのオプションは3つあり、そのうち二つはグラボ内に搭載されている専用メモリ(VRAM)のオプションです。
ちなみに16インチモデルではグラフィックボードを搭載していても、バッテリー節約などを測って自動でCPU内蔵グラフィックスが利用されたりします。もちろん重たい処理を行う時はグラフィックボードが使われます。
MacBook Pro 13インチ(Thunderbolt 3 2ポート)
グラフィックス | Intel Iris Plus Graphics 645 |
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13インチモデルのThunderbolt 2ポートモデルについてはCPU内蔵グラフィックスが使われています。CPUオプションによらず、固定してIntel Iris Plus Graphics 645が搭載されています。Iris Plus Graphicsですので一般的なUHD Graphicsに比べると優秀な性能を発揮しますが、最新のゲームを快適にプレイするのは難しいです。
MacBook Pro 13インチ(Thunderbolt 3 4ポート)
グラフィックス | Intel Iris Plus Graphics (G7) |
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13インチモデルのThunderboltが4ポートついているモデルについてもCPU内蔵グラフィックスが利用され、CPUオプションによらず固定してIris Plus Graphics (G7)が搭載されています。といってもCore i5のものとCore i7のもので若干性能差があるようです。
2ポートモデルと同じ「Iris Plus」ではありますが、こちらはIntelの第11世代グラフィックスが使われていて、2ポートモデルのものに比べると性能が高いです。
[visualizer id=”11159″]
こちらもPassmarkの値を参考にしたものになります。主にゲーム性能を表している数値ですが、16インチモデルの最高構成時は7000程度となっていて、最新のゲームを快適にプレイする上で最低限欲しい程度の性能はあります。ただ、16インチモデルは解像度が非常に高いためフルスクリーンでゲームをやろうとしたら性能不足感を感じると思います。
そして他の2モデルについては軽めのゲームなら何とかできるレベルの性能です。ただ、動画再生や外部モニター出力、動画編集等でこのグラフィック性能が役に立ってくるでしょう。
いずれにしても、ゲームを快適にプレイしたいならゲーミングパソコンを購入した方が良さそうです。
映像出力
こちらもグラフィック関連ですが、映像出力についても差があります。
先ほど紹介した技術仕様表を見ていただければわかりますが、16インチモデルは最大で6Kモニター2台、13インチモデルのThunderbolt 4ポートモデルは6Kモニター1台、2ポートモデルは5Kモニター1台となっています。
つまりこの中でAppleの6K Pro Display XDRをフル活用できるのは13インチモデルのThunderbolt 2ポートモデル以外となっています。おまけに16インチモデルでは2台に接続することも可能です。
ただ、すべて60Hz出力となっていますので高リフレッシュレート(144Hz等)モニターに接続しても意味ありません。
[dic term=”リフレッシュレート”]
オーディオ
オーディオについても違いがあります。13インチモデルではステレオ構成となっていますが、16インチモデルでは6つのスピーカーがあります。
ウーファーも備えているので5.1chみたいなものですが、5.1chとは記載されていません。
そしてマイクについても説明文が若干異なっています。16インチモデルでは「高い信号対雑音比」となっており、すなわちノイズが少ないということですね。
こだわる人は外部スピーカー、マイク等を取り付ければよいですが、パソコン単体で楽しみたい人は16インチモデルの方が良いのかもしれません。 ただ、オーディオのためだけに16インチモデルというのは少しもったいない可能性があります。
メインメモリ
[dic term=”メインメモリ”]
メインメモリについては16インチモデルでは16GB~64GBまでのオプションが存在します。そして13インチモデルのThunderbolt 2ポートモデルでは8GB~16GBの構成となっていて、4ポートモデルでは16GB~32GBとなっています。それぞれCPU性能などに合わせてオプションがうまく分かれている印象です。
メインメモリの種類についてはすべて違いが出ていて、単純に動作クロックだけで言えば13インチモデルのThunderbolt 4ポートモデルが一番優秀です。
一番最後に登場しているだけありますね。ちなみにLPDDR4XはiPhone 11のメインメモリとしても搭載されたものになります。
ストレージ
[dic term=”ストレージ”]
ストレージについてもオプションがきれいに分かれております。16インチモデルでは最高8TBとなっていて、もはやこれ以上誰も使わないだろうレベルの大容量さを誇っています。 そして13インチモデルのThunderbolt 4ポートモデルも4TBと、十分に大容量なオプションがあります。対して2ポートモデルは2TBまでとなっている分、最小オプションが256GBとなっていて手ごろです。
内カメラ
内カメラに違いは見られません。すべて720pとなっていて、ビデオチャットが最低限出来るレベルです。動画撮影などには向いていません。
端子
接続端子については3モデルとも同じ機能を備えた(映像出力の解像度は異なるが) USB Type-Cと3.5 mmヘッドフォンジャックを搭載していますが、USB Type-Cについてはポート数が異なります。
文字通りですが、13インチモデルのThunderbolt 2ポートモデルには2ポートのみ搭載されていて、他は4ポート搭載されています。
この端子では充電、Thunderbolt 3通信、Display Port映像通信、USB 3.1 Gen 2通信を行うことができます。フルスペックのUSB Type-Cといった感じです。ただし先ほど紹介したように映像出力の最大解像度等は異なるので注意が必要です。
また、ただ単に端子が少ない場合はUSBハブを使うことで解消できることが多いので、USB Type-Cのポート数だけでモデルを選ばないようにしましょう。
ワイヤレス通信
ワイヤレス通信について3モデルともWi-Fi 5 + Bluetooth 5.0をサポートしています。通信系統ではあまり差別化を図らないようです。
バッテリー・電源・充電
バッテリー容量についてはCPUの消費電力が異なることなどから違いがでていますが、重要なのは持ち時間です。
基本的にどれも10時間程度は持ちますが、16インチモデルでは一番消費電力が高いのにもかかわらず11時間持ちます。これは本体が大きい分大きなバッテリーを搭載することができているということでしょう。
ただ電力効率については13インチモデルのThunderbolt 4ポートモデルが一番高いようです。
そして充電についてはバッテリー容量が多い分16インチモデルが一番電力がかかります。単純計算では、どのモデルもだいたい2時間以内にはフル充電することができそうです。
ですが16インチの「91W」充電については付属ケーブルでの充電なら良いものの、USB PDを利用して他のUSB Type-C端子から給電しようとする場合、対応していない場合が多いです。そのため基本的にはコンセントからの充電になるでしょう。
サイズ・重量
サイズについてはもちろん16インチモデルが一番大きくなっています。ベゼルレス設計とは言えども16インチディスプレイは比較的大きい方なので、頻繁に外に持ち運んで使いたい人にはあまり向いていません。重量についても、16インチモデルは2.0 kgと、若干重めになっていますので持ち運びにはあまり向いていません。
対して13インチモデルはコンパクトな上に1.4 kgとなっていて、MacBook Air並みの軽さを誇ります。
価格
最後に価格についても少し紹介します。無理やり合わせた構成時の価格も紹介します(性能が全く違うのであまり参考になりません)
モデル | 16インチ | 13インチ(2tb) | 13インチ(4tb) |
---|---|---|---|
最小構成 | i7,Radeon Pro 5300M,16GB,512GB | i5,8GB,256GB | i5,16GB,512GB |
価格 | 248,800円 | 134,800円 | 188,800円 |
類似構成 | i7,16GB,512GB | i7,16GB,512GB | i7,16GB,512GB |
価格 | 248,800円 | 194,800円 | 208,800円 |
最高構成 | i9,Radeon Pro 5500M 8GB,64GB,8TB | i7,16GB,2TB | i7,32GB,4TB |
価格 | 618,800円 | 254,800円 | 368,800円 |
類似構成を見てみると16インチモデルはいいとして、13インチモデルのThunderbolt 4ポートモデルのコスパが結構高いことがわかります。おそらくオプションを上げるなら4ポートモデルの方が良く、全く上げないなら2ポートモデルでも良いかもしれません。
まとめ
以上、Macbook Pro 13インチモデルと16インチモデルの主な違いでした。13インチ 2020年モデルが登場したことで13インチの中でもはっきりと違いがみられるようになりましたね。
これらをまとめると
Macbook Pro 13インチモデル(2tb)
- そこまで重たい処理を行わない人(MacBook Airの方が良い説はある)
- 一番安く買いたい人
Macbook Pro 13インチモデル(4tb)
- 重ための処理をコンパクトなパソコンで持ち運んで行いたい人
- グラフィック性能をそこまで重視しない人(動画編集をしない・ゲームをしないなど)
Macbook Pro 16インチモデル
- 高性能デスクトップパソコン並みの処理能力が欲しい人
- あまり外に持ち運んで使わず、主に家でデスクトップパソコン代わりに使いたい人
- 高めのグラフィック性能が欲しい人(動画編集やゲーム等)
におすすめです。
内蔵スピーカーが高性能な点等を考慮すると、16インチモデルは、「家でもノートパソコンを使う」という人におすすめです。つまり、主に家でメインマシンとして使い、たまに外に持ち運びたい程度の人におすすめと言えるでしょう。
13インチモデルについては2020年モデルが登場したことで性能が高くなりましたので、そこそこ重たい処理を「コンパクトな」パソコンで行いたい人に向いていると言えます。
ただしThunderbolt 2ポートモデルに関してはあらゆる点でMacBook Air 2020年モデルの方が優秀だったりするので、最小構成を選ぶならMacBook Airを。オプションを上げるなら4ポートモデルを選ぶのが最適かもしれません。
次回はMacBook Pro(13インチ)とMacBook Airの違いについて説明していきます。とか言いつつ実はもうすでに投稿していますが、まだ最新のモデルを取り扱っていませんのであまり見る意味ないです。
MacBook AirとMacBook Proの違いとは一体何なのか?【2020年最新】
また、この記事の動画版を作成しましたので是非ご覧ください。動画内ではこの記事を声付きで解説しています。