皆さんは6月のWWDC見ましたか? 私はもちろん… 寝てました笑
とはいえ興味のあるMacパソコンの発表の部分だけ奇跡的に起きて見ていました。 そして今回発表されたのがMac Pro、Mac Studio、そしてMacBook Air 15インチモデルですね。
そしてその中でもMac ProはMacパソコンの最上位モデルであり、Appleが最も力を入れていると言えます。
今回はそんな、新型Mac Pro(2023年モデル)の仕様を振り返って、2019年モデルと比較していこうの会です。
この記事の要点
- Mac Pro 2023年モデルのデザインは2019年モデルと全く変わらない
- 最小構成時のCPU性能、GPU性能共に2019年モデルの最高構成時と同等以上
- 最小構成時の価格は100万円程度であり、2019年モデルの最高構成が700万円以上することを考えると、非常にコストパフォーマンスが高くなったと言える
- PCI-Expressスロットがあり、GPU等を自分で増設することができ、拡張性にも優れている
- ずば抜けた性能はなく、実用的な範囲で留まっていて良くも悪くもMac Proらしくないモデルかもしれない
デザインを比較
Mac Proでまず注目すべきなのは間違いなくデザインでしょう。
例えば上図の通り、2013年モデルに関してはゴミ箱のようなデザインになったことが話題になりました。 そして2019年モデルに関してはもっとインパクトの強い、まるでチーズのおろし金のようなデザインになったことで話題になりましたよね。
冷却面で優れているようですが、とはいえこんなパソコン見たことがありません。
そして2023年モデル、次はどんな衝撃的なデザインが採用されるのかと楽しみにしていたところ
いやまさかの同じデザインですね。 別にデザインを変えないといけないルールなんてありませんが、ちょっと期待していただけ損した感じがしますね。 このおろし金の穴の数くらい変わっているんじゃないかと全部指で数えてみましたが、どうやら変わっていないようです。
完全に同じデザインということですね。配色も一つのみです。
仕様を比較
まずは比較表をざっと見てみましょう。Mac Pro 2019年モデルってどんな感じだったっけ? って方は以下の記事等をご覧ください。
Mac Pro 2019年モデルのオプションと性能について徹底解説【最速報】
MacPro 2019年モデルのCPU性能を全世代と比較【Xeon-W3275M】
新型MacProのグラフィックボード性能を徹底解説【2019年モデル】
モデル | Mac Pro 2023 | Mac Pro 2019 |
---|---|---|
タイプ | タワー・ラック | タワー・ラック |
CPU | Apple M2 Ultra(24コア) | Intel Xeon W(8~28コア) |
GPU | Apple M2 Ultra(60~76コア) | AMD Radeon Pro 580X~ AMD Radeon Pro W6900X |
メモリ | LPDDR5 6,400MHz? 64GB~192GB |
DDR4 2,666MHz~2,933MHz 32GB~1.5TB |
ストレージ | 1TB~8TB SSD | 256GB~8TB SSD |
ディスプレイのサポート(最高) | 4K 60Hz x 8 6K 60Hz x 6 8K 60Hz x 3 |
4K 60Hz x 6 5K 60Hz x 3 6K 60Hz x 3 |
拡張性 | PCI-Express 4.0 6スロット PCI-Express 3.0 1スロット 最大300Wの補助電源 |
PCI-Express 3.0 8スロット 最大300Wの補助電源 + MPXモジュールあたり最大500Wの電力 Afterburnerオプションあり |
接続 | Thunderbolt 4 x 8 USB-A x 3 SATA x 2 HDMI x 2 Ethernet x 2 ヘッドフォンジャック |
Thunderbolt 3 (8~12) USB-A x 2 SATA x 2 HDMI (1~2) Ethernet x 2 ヘッドフォンジャック |
ワイヤレス | Wi-Fi 6E Bluetooth 5.3 |
Wi-Fi 6 Bluetooth 5.0 |
最大消費電力 | 1,200W程度 | 1,200W程度 |
タイプ
タイプについては両モデルともタワー型とラック型を提供します。
CPU
モデル | Mac Pro 2023 | Mac Pro 2019 |
---|---|---|
CPU | Apple M2 Ultra(24コア) | Intel Xeon W(8~28コア) |
CPUが今回最も変更されたポイントといえるかもしれません。 2019年モデルではIntelのXeon Wプロセッサが採用されていたのに対して、2023年モデルではついにAppleの独自チップ Apple M2 Ultraが採用されました。
Apple M2シリーズといえば、既にMacBook AirやMacBook Pro、iPad等に採用されているわけですが、M2 Ultraというモデルは初めてです。
M2 UltraチップはMacBook Pro等で採用されているM2 Maxチップを2つ結合したようなチップで、単純に性能も倍くらいになっています。
2019年のXeon Wプロセッサよりも圧倒的な高品質な半導体が用いられていて、電力効率も非常に良いです。 なお、2019年モデルではCPUのオプションが5つあったのに対して、2023年モデルでは1種類のみとなっています。
ただ、このM2 Ultraチップの性能が2019年モデルの最上位CPU(Xeon W-3275M)の性能を超えるほどのものとなっていて、非常に優秀です。 具体的な性能についてはこの後紹介します。
グラフィック
モデル | Mac Pro 2023 | Mac Pro 2019 |
---|---|---|
GPU | Apple M2 Ultra(60~76コア) | AMD Radeon Pro 580X~ AMD Radeon Pro W6900X |
ディスプレイのサポート(最高) | 4K 60Hz x 8 6K 60Hz x 6 8K 60Hz x 3 |
4K 60Hz x 6 5K 60Hz x 3 6K 60Hz x 3 |
拡張性 | PCI-Express 4.0 6スロット PCI-Express 3.0 1スロット 最大300Wの補助電源 |
PCI-Express 3.0 8スロット 最大300Wの補助電源 + MPXモジュールあたり最大500Wの電力 Afterburnerオプションあり |
続いてグラフィックについてです。2019年モデルではCPU自体にグラフィック処理装置は内臓されていなくて、外付けする必要がありました。
そしてそのオプションは最終的に9種類となり、Radeon Pro 580X~Radeon Pro W6900XまでのGPUを選択することができました。
一方で2023年モデルについてはApple M2 Ultraチップにグラフィック処理装置が内蔵されています。そのコア数は最大で76となっていて、M2 Maxチップの二倍となっています。 その分性能もほぼ二倍になっていることが期待されます。 なお、2023年モデルでは購入するときに2019年モデルのように外付けGPUを選択することはできず、基本的に1種類のみです。
ただ、ディスプレイのサポートのところを見ていただければわかると思いますが、2019年モデルの最大構成の時よりもさらに多くの高解像度ディスプレイを接続することができるようになっています。
なんかM2 Ultraチップの内臓グラフィックだけで十分そうですね。
ここで拡張性についても触れるのですが、2019年モデルではオプションで選択できるGPUを取り付けるためのPCI-Expressスロットが設置されていてそこに様々な外付けGPU等を接続することができました。
そして2023年モデルについてもPCI-Expressスロットがたっぷりと設置され、そこに自分の好きな外付けGPUを組み込むことが可能になっています。しかもGPU用に最大で300W(8pin x 1 + 6pin x 2)の補助電源を利用することができるため、最近発表されたAMD Radeon Pro W7900などの高性能グラフィックボードも難なく搭載させることができます。
購入するときのオプションは少ないものの、自分でカスタマイズすることができるので拡張性は高いままと評価することができそうですね。
GPUの性能についても後程触れます。
メモリ・ストレージ
モデル | Mac Pro 2023 | Mac Pro 2019 |
---|---|---|
メモリ | LPDDR5 6,400MHz? 64GB~192GB |
DDR4 2,666MHz~2,933MHz 32GB~1.5TB |
ストレージ | 1TB~8TB SSD | 256GB~8TB SSD |
続いてメモリ・ストレージについてです。メモリのオプションは少なくなり、最大容量も192GBと、2019年モデルと比較すると圧倒的に少なくなっています。
とはいえ192GB以上メモリを使うことなんて滅多にないと思いますので個人的に容量に関してはこれで良いと思います。
メモリの種類については進化していて、DDR4からDDR5になっています。動作周波数が非常に高く、非常に高速な通信を実現します。
ストレージについてはオプションが底上げされたものの、最大容量は8TBのままですね。
なんか全体的に、2023年モデルは激しくないっていうか良くも悪くも実用的な範囲にとどまっていて、Mac Proらしくない感じがしますね。 まぁ2019年モデルが激しすぎたのかな…
接続
モデル | Mac Pro 2023 | Mac Pro 2019 |
---|---|---|
接続 | Thunderbolt 4 x 8 USB-A x 3 SATA x 2 HDMI x 2 Ethernet x 2 ヘッドフォンジャック |
Thunderbolt 3 (8~12) USB-A x 2 SATA x 2 HDMI (1~2) Ethernet x 2 ヘッドフォンジャック |
ワイヤレス | Wi-Fi 6E Bluetooth 5.3 |
Wi-Fi 6 Bluetooth 5.0 |
接続についてです。通信方式がThunderbolt 3から4に進化しています。とはいえThunderbolt 4はもう最近のMacパソコンでは当たり前になっているので、ようやくMac Proにも導入されたかって感じですね。
HDD等を接続するためのSATAポートもケース内部に存在しているので、ストレージが足りなかったら自分で増やすことができます。
イーサネット端子やヘッドフォンジャックも健在で、接続性は非常に良いと言えるでしょう。
また、ワイヤレスについても進化していますが、こちらも既に他のMacパソコンで実現されていることですね。
Thunderbolt端子だけにするとか、もっと尖ったことをしても良いと思っているのですが、今回のMac Proは尖りすぎてなくてなんかちょうど良いですね。
性能を比較
CPU
続いて性能の比較です。 Appleが言及していることやM2 Maxチップの性能などを加味したうえで、以下のような性能値になることが予測されます。
予測性能値をPassmarkの値に変換したもの
このIntel Xeon W-3275Mが2019年モデルの最高構成時のものですが、こちらよりも20%以上性能が向上しています。 M2 Ultraチップが標準オプションであることを考えたらすごいですよね。
そしてMac Studioに採用されたM1 Ultraチップよりも20%性能が向上しています。
そしてその性能はIntelのCore i9-13900程度、AMDのRyzen 9 7900程度と、トップクラスなものになっています。 とはいえ、2019年モデルが登場した時のXeon W-3275Mの方が圧倒的な存在だったというか、ずば抜けていた印象ですので、2023年モデルについては良くも悪くも実用的な性能しか実現しないといった感じですね。
とはいえ、この性能値が20000を超えていればほとんどの作業を快適にすることができますので、49200ともなるとフル活用する方が難しそうです。
グラフィックス
続いてグラフィック性能についてです。
性能予測値をPassmarkの値に変換したもの
青色が2019年モデルの最低オプションと最高オプションです。そして赤色が2023年モデルです。コア数が倍になっているので、性能もほぼ倍になることが期待されます。またAppleの主張等を加味した結果、上のような値になりました。
2019年モデルの最高オプションと同等程度の性能を発揮することができそうです。CPUの時と同様、Apple M2 Ultraチップが標準オプションであることを考えると素晴らしい性能ですね。
ただ、Radeon PRO W7900の方が高い性能を発揮することはほぼ確実ですので、さらなる性能が欲しい方は自分で拡張スロットに増設するべきでしょう。
価格を比較
2019年モデルは70万円程度(8コアCPU,32GBメモリ,256GB SSD,PRO 580X)から購入することができました。 正直この仕様にしてはだいぶ高かったですね。
しかし2023年モデルについては、最小構成は100万円程度ではあるものの、
- M2 Ultra チップ(性能は2019年モデルの最高構成以上)
- 64GB LPDDR5メモリ(より高速、2019年モデルの2倍容量)
- 1TB SSDストレージ(2019年モデルの4倍容量)
という、最小構成でも最高レベルのスペックを保有していますので、100万円はむしろかなり安く、コストパフォーマンスに非常に優れていると言えます。
なお、さすがに同じ性能の自作パソコンを作る方が圧倒的に安くはありそうです(50万円くらいで済みそう)
また、最高構成時(メモリ192GB,ストレージ8TB)も200万円を上回っていなくて、非常にお得な価格設定になっています。2019年モデルについては最高構成にしたときに700万円を超えていましたがあれはなんだったんでしょうかね。
買い? どんな人におすすめ?
仕様を比較したところ、全体的に進化はしているものの、ずば抜けていないというか、なんだか落ち着いた感じがしますね。
そのため、他のどんなパソコンよりも高性能なパソコンが欲しいという方にはお勧めできないです。
また、2019年モデルを既に使っている人はさすがに乗り換えるメリットがないでしょう。
しかしながら2019年モデルと同等以上の性能を実現しているのに対して価格が非常に安くなっていますので、コストパフォーマンスは非常に良くなったと言えます。
2019年モデルはさすがに高すぎて購入できなかったという人でも、2023年モデルはおすすめです。