2019年の夏ごろにAMDからRDNA世代のGPUとなる「RX 5000」シリーズが発表されました。
Naviは7nmプロセスを採用した非常に高品質なアーキテクチャとなりましたが、実はまだウルトラ・ハイエンドと呼ばれるモデルは登場していません。
現時点でRX 5700 XTが最高モデルになりますが、ウルトラ・ハイエンドという立ち位置ではなく、どちらかというとコスパ重視といった立ち位置にいる現状です。つまり、ウルトラ・ハイエンド市場はすべてNvidiaに持ってかれている現状なのですが、そんな中でRadeonシリーズの新たなウルトラ・ハイエンドGPU「RX 5950XT」が噂されていますので、その情報を紹介したいと思います。
なお、噂程度の情報も含まれますのでご注意ください。
この記事を2文で説明すると
- Radeon RX 5950XTは次世代のRadeon ウルトラ・ハイエンドGPUとなり、事実上Radeon VIIの後継となる可能性が高い
- 新しい7nmアーキテクチャが用いられる上にハードウェア単位でのレイトレーシングも実現され、その性能はNvidiaのRTX 2080 tiよりも2割程度高くなると期待される
RX 5950XTの立ち位置とは
ウルトラ・ハイエンドとは?
冒頭で説明しましたが、2020年中に登場すると考えられている「RX 5950XT」はRadeonシリーズ(AMDのGPUシリーズ) の新たなウルトラ・ハイエンドGPUという立ち位置に居座ると考えられます。
ウルトラ・ハイエンドGPUといえばNvidiaのRTX 2080 tiやTITAN RTX , AMDのRadeon VIIなどが有名どころでしょうか。ゲーム等の設定をよっぽど高くしない限りあまり意味を持たないGPUの立ち位置です。コストパフォーマンスはあまり良くない傾向にあり、わずかな愛好者に購入される傾向にあります。
しかしウルトラ・ハイエンドGPUというのはテクノロジーの象徴でもあり、例えばAMDがNvidiaのTITAN RTXを超えるGPUを製造することで、「Radeon GPUはNvidiaよりも高度な技術が用いられているんだな」と印象付けることができます。
つまりは、ウルトラ・ハイエンドGPUは多くの人に購入してもらうのが目的ではなく、もはや「こんなGPUも作れるんだぞ」というアピールの一つなのです。
同じ立ち位置のものがCPUにもあります。AMDの第三世代Ryzen CPUには「Ryzen9-3950X」というモデルがありますが、その性能はあまりにも高く、一般的な用途ではまず必要としないスペックとなっています。しかしIntelのCorei9-9900K等を圧倒していることから多くの人から注目が集まり、第三世代Ryzen CPUの象徴とも言えるモデルとなっています。
型番について
第三世代Ryzen CPUシリーズは、千の位が3となっています。そのため、Ryzen9-3950Xというネーミングはとてもきわどいです。つまりは、これ以上上のモデルが存在しないということを暗示しています。
この~950というネーミングがRyzen CPUで使われるようになったのは第三世代からのことです。そのため、新しいRadeonウルトラ・ハイエンドGPUにも同じような型番が使われると考えられます。
実際に、とあるオリジナルファンモデルのグラフィックボードを生産しているメーカーから「RX 5950XT」という文字が漏れたこともありました。RX 5000シリーズの最上位モデルであることを示唆するために、きっとこの型番になるでしょう。なお、Radeonシリーズの最後のウルトラ・ハイエンドGPUである「Radeon VII」の後継になると考えられますが、型番は全く違いますね。
RX 5950XTの特徴
それではウルトラ・ハイエンドについて語ったところで、新たなトップGPU「RX 5950XT」の特徴を紹介していきます。なお、まだ正式に発表されたわけではないため、情報の信ぴょう性についてはお察しです。
1.進化した7nm +アーキテクチャの採用
これまでのRX 5000シリーズにはRDNA世代初の7nmプロセスが使われてきました。Radeon VIIも7nmプロセスですが、あれはGCN世代になりますので、7nmは7nmでもRDNAのものとは異なります。
そしてRX 5950XTではより進化した7nm +アーキテクチャが採用されると期待されています。
この「+」が付くのは、ついてない時と比べてアーキテクチャの世代が変わり、改善されたときです。つまりは7nm+が採用されるというのは、新しいNaviアーキテクチャを採用することを表しています。
現在はRDNA世代ですが、より新しい「RDNA2」世代となり、アーキテクチャはNavi 20シリーズとなります。

2.GDDR6とHBM2メモリの混合
これまでのRX 5000シリーズではGDDR6メモリを搭載してきましたが、RX 5950XTについてはGDDR6とHBM2の混合メモリが搭載されると言われています。具体的にどういうことなのかはよくわかりませんが、HBM2メモリは帯域幅が非常に広く、AI処理にも向いているのでより汎用性の高いGPUになることでしょう。また、Radeon VIIがHBM2メモリを搭載したことからも、新たなウルトラ・ハイエンドGPUが何らかの形でHBM2メモリを搭載することが予測できます。
また、更に「HBM2E」メモリも噂されています。「E」付きの方が更に帯域幅が広くなっていて、AI処理のパフォーマンスも更に向上します。
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また、メモリの容量は24GBになるという説が有力です。Radeon VIIでは16GBのメモリが搭載されましたので、それと比べるとかなり容量が増えることになります。そして24GBという容量はNvidiaの現状最強GPU「TITAN RTX」と同じです。
3.ハードウェアレベルでのレイトレーシングのサポート
NvidiaはRTXシリーズから専用コアを搭載し、ハードウェアレベルでのレイトレーシングのサポートをしてきました。登場当初はハードウェアレベルでのサポートの必要性が疑問視されていたところはありましたが、今ではレイトレーシング処理はあらゆるゲームで行われています。
そんな中RadeonシリーズGPUは今のところハードウェアレベルでのレイトレーシングのサポートは実現できていません。それはもちろんRadeon VIIでもです。
そこでRX 5950XTではハードウェアレベルでのレイトレーシングがサポートされることが期待されています。もはやこれは普通の流れです。ここでサポートしなかったら多くの人はAMDを見損なってしまうかもしれません。
4.80CU , 5120コア
最新の噂では、RX 5950XTが80基のCUを保有することが示されています。
CUはいくつかの処理ユニットを一つにまとめたもので、Radeon GPUでは主に64コアで一つのCUとなっています。 前世代ハイエンドの「Radeon RX Vega 64」は文字通り64基のCUが搭載され、コア数は4096基となりました。
Vega 64は大量に電力を食うGPUとして知られていましたが、どうやらRX 5950XTの方がCUの数が多いようです。しかし最新のNaviアーキテクチャは電力効率に非常に優れているので、その消費電力はRadeon RX Vega 64とさほど変わらないものになるでしょう。
性能はどれくらいになる?
まだAMDから詳細は発表されていませんので、もちろんRX 5950XTの性能も定かではありません。しかしリークした情報によると、その性能はNvidia RTX 2080 tiよりも最大で17%程度高くなるとのことです。
どれくらいの電力を食うかにもよりますが、RTX 2080 tiよりも2割近く性能が高いというのは非常に優秀であることが伺えます。RTX 2080 tiの性能はTITAN RTXの性能とあまり変わらなかったりしますので、RX 5950XTはNvidiaの現状でのトップレベルのGPUの性能を凌駕するのかもしれません。
ちなみにAMDはこの新しいウルトラハイエンドGPUのターゲットを「4Kゲーミング」にしていると主張しているようです。
今はまだWQHD(1440p)が流行っているようですが、ついに4K解像度でも重たいゲームを最高設定で快適にプレイすることができる日が来るのでしょう。