パソコンの頭脳ともいえる「CPU」ですが、時には一秒間に何億個もの処理を行うこともあります。 そしてCPUが処理する速さの事を「動作周波数」とか「クロック数」とか言ったりしますが、この値を無理やり上げることでより高い処理性能を実現することができます(オーバークロック)
ですが世の中には、逆にクロック数を下げて性能を落としたいと考えている人もいるでしょう。 そこでこの記事では簡単にできるCPUの動作周波数を下げる、すなわち「アンダークロック」する方法について説明していきます。
この記事を2文で説明すると
- CPUのアンダークロックは「ThrottleStop」というフリーソフトで簡単にできる
- アンダークロックした方が電力効率が良くなる傾向にある
なぜアンダークロック?
オーバークロックするのはただ単に性能を上げたいからだと思いますが、一体アンダークロックは何に役立つのでしょうか?
消費電力削減
アンダークロックというのはすなわち本来発揮できる処理性能よりも低い性能にするということです。そこで、消費する電力が減ります。でもIntel Core i7などの優秀なCPUだとクロック数を下げ、消費電力が減ったとしてもそこそこ優秀な性能を発揮することができます。
そのため、同世代のCore i5くらいの性能を低電力で発揮できるかもしれません。
熱対策
恐らくゲーミングパソコンであればCPUクーラーはしっかりしたものを搭載していると思いますが、特にノートパソコン等においてはCPUに高負荷をかけると冷却ファンの音がうるさくなってしまう場合があります。
これはノートパソコンがより薄型であり、熱が充満しやすいのに加えて冷却ファンが小型だから高い音を発しやすいのが主な原因です。
そんな時にCPUの性能に制限を掛ければ、多少重たい作業をしても冷却ファンの音に苦しむことはありません。
アンダークロックする方法
それではいよいよアンダークロックする方法を解説していきます。ただ、この方法では厳密にはアンダークロックしていると言えないかもしれませんので、アンダークロックもどきといった感じでしょうか。
とりあえずその方法を説明します。
Throttle Stopを導入
それではまず最初にTechpowerupのフリーソフト「Throttle Stop」を導入していきます。
ダウンロード
まずは以下のページにアクセスしてください。
https://www.techpowerup.com/download/techpowerup-throttlestop/
そして左側にあるフィールドからダウンロードボタンをクリックしてください。
ここでは最新安定版をダウンロードしましょう。ダウンロードボタンを押したらサーバー選択画面に入ります。
どれでも良いですが、とりあえずスタンダードにUS-1にしましょう。ダウンロードは通常2秒程度で終わります。
解凍
続いてはダウンロードしたZIPファイルをWindowsの標準機能で解凍してください。解凍の方法については必要であれば以下を参考にしてください。
[howto method=”unzip” title=”ZIPファイルの解凍方法”]
そして解凍できたらそのフォルダを開いてください。
これで導入は終了です。
CPU制限設定
そしたら先ほど開いたフォルダの中にあるアプリケーションを開いてください。
そして開いた時に何やら警告のようなものが出ます。
とりあえずCPUをいじるアプリですので、何が起きても知らないですよ的な警告ですね。ただ、オーバークロックできるわけでもないのでおそらくCPUが壊れるということはないと思います。
そして開いたら以下のようなウィンドウが表示されます。
左に設定項目があり、右にCPUの状態表があり、下に設定ボタンがあります。このソフトは非常にいろいろな機能があるので設定が難しいですが、ここでは単に性能を下げる方法だけ説明します。
まずは左の方にある「Set Multiplier」にチェックを入れましょう。これは「クロック乗数」を設定するという意味で、この右にある数値がクロック数に関わってきます。
そして右にある◀▶をクリックすることによって乗数を変更します。この場合は25TでMAXで、12でCPU使用率が50%まで制限されました。 そして最後にしたの「Turn On」をクリックすることによって実行できます。
実行結果
そして実際にCPU-Zというアプリで高負荷をかけながら乗数を変えてみました。
25T
まず最初はMAXの25Tです。
右の棒グラフのようなものが性能値で、左にタスクマネージャーがうつされています。使用率は100%となっており、クロック数は最大です。ちなみにこの時の消費電力は144Wです。
20
続いて20に下げてみました。すると使用率は83%になり、クロック数も2.7 GHz程度まで下がりました。性能値も先ほどより下がっています。
この時のCPU消費電力は84Wです。
16
続いて16にしてみました。すると使用率は66%まで下がり、クロック数は2.1 GHz、そして性能も下がりました。この時のCPU消費電力は53Wです。
12
続いては12です。これが下限となっています。使用率は49%まで下がり、クロック数は1.6GHzまで落ちました。そして性能も最初に比べるとだいぶ落ちて、消費電力も34Wにまで減少しました。これはかなり省電力ですね。
それではグラフにしてまとめてみます。
性能値に関してはほとんどクロック数に比例していると言えます。
一方クロック数とCPUの消費電力の関係については比例というわけでもなく、クロックが下がるにつれて電力の減少度が減っています。
以下のグラフにするとわかりやすいでしょう。
これは各クロック数における消費電力に対する性能値を表したものです。ワットパフォーマンスなどと言われますね。
ほぼ比例的にワットパフォーマンスが向上しているのがわかります。つまりアンダークロックする方が電力効率が良くなるということです。
ただしCPUやパソコンにもよると思います。
スタートアップ設定
一時的に制限したい人は良いのですが、これからもずっと制限したいという人は毎回起動する必要があります。 おそらくこのソフト自体にスタートアップの設定は無いようです。
そこで以下の手順に従ってください。
最小化で起動
まず最初にOptionを選択します。
そのあとに開いた画面で「Start Minimized」を選択しましょう。これによって最小状態で起動されます。
そして下のOKを選択しつつ、コントロール画面に戻ったら自分の好きな設定にしてから左下の「SAVE」を選択します。
スタートアップ登録
スタートアップ登録については以下を参考にしてください。管理者権限が必要なアプリですので少々手間がかかります。
[howto method=”make_startup” title=”スタートアップ登録方法” place=”need_power”]
以上になります。ぜひみなさんもやってみてください。