パソコンでゲームをプレイしているとき、性能の不足感を感じることがあります。具体的には、中にある「グラフィックボード」というパーツの性能が低いということになります。この記事ではそんな「グラフィックボード」の性能を手軽に上昇させる方法を紹介していきます。
グラフィックボードの性能を上げるとどうなる?
まず最初に、グラフィックボードの性能を上げるとどうなるのか説明していきます。
簡単に言えば
ゲーミング性能が上昇する
です。
これ以上でもこれ以下でもありません。ゲーミング性能が上昇するというのは、具体的にはfpsが上がるということです。fpsというと、銃を使って戦ったりするゲームを想像しがちですが、FPS(First Person Shooting)ではなくて
fps(Frames Per Second)です。
これは、一秒間に何枚画像が切り替わるのかを示す数値となっており、その数値が高いほど滑らかに動いているように見えます。
つまり、サクサクにプレイすることができるということです。
ただ、もちろん性能が上昇する代わりに副作用もあります。
- 消費電力が多少高くなる
- グラフィックボードへの負担が大きくなって寿命縮小
- 発熱が多くなる
- ファンの回転数が上昇
- 描画が不安定になるかもしれない
でも、このうち消費電力、寿命縮小についてはあまり気にしなくて大丈夫だと思います。正直、寿命が短くなるとかいって、寿命までグラフィックボードを使った人なんてほとんどいないと思います。
それでは次に、グラフィックボードの性能を上げるにはどうすればいいのか説明します。
グラフィックボードの性能を上げるには?
※少し難しい話なので、早く性能を上げる方法を知りたいという方はこちらまで飛んでください。
グラフィックボードには次のような要素があります。
- コア数…処理を行うユニットの数
- メモリサイズ…描画用メモリのサイズ
- メモリクロック…メモリのデータ転送クロック(周波数)
- 動作周波数…処理を行う速度、高いほど性能が良くなる
他にもいろんな要素がありますが、とりあえずこの記事ではこの4つを覚えてください。でも、このうちコア数とメモリサイズについてはソフトで変えることができません。
もう物理的なものだからです。
でもメモリクロックと動作周波数についてはグラフィックボード本体の設定をソフトを使って変えることができます。
そこで、主にこの二つの値をソフトで変えていき、性能を上昇させるのです。
その時に役に立つのが「MSI Afterburner」という無料ソフトです。
あらかじめ言っておきますが、このソフトを使えない場合もあります。
基本的にはどんなグラフィックボードでも使えるのですが、そもそもグラフィックボードを取り付けていない場合(CPU内蔵グラフィックス使用時)や、相性問題等で利用できないこともあります。
また、利用できるのはWindowsのみで、MacOSでは使うことができません。
ただ一つ、MSIというのは有名なパソコンの会社ですが、別にMSI製のグラフィックボードでなくても利用することができます。
それでは紹介していきます。
MSI Afterburnerの紹介
1、導入方法
まずはこちらのページにアクセスし、左下にある「ダウンロード」をクリックします。
そしてダウンロードしたZIPファイルを展開し、
中にあるSetupファイルを実行します。
インストールしていく中で、次のような画面が出たら、Riva~という項目からはチェックを外しておきましょう。
インストール場所等は任意で指定してください。
そして、インストールが終わったら早速実行してみましょう。
そしたら最初にこのような画面が出てくると思います。
左側の上の数値は動作周波数で、下の数値はメモリクロックです。
そして右側の上の数値は電圧で、下の数値は温度です。
真ん中にあるスライダーをいじってグラフィックボードの設定を変えていきます。
と、その前に、左下のほうにあるギザギザマークをクリックして設定画面を開きましょう。
そしたら赤い丸で囲った二つの項目にチェックをつけましょう。
そしたらOKをクリックし、シャットダウンしましょう。
そしてまた起動するとこのような画面が出てくると思います。
真ん中の項目を上から順に説明していくと、
①Core Voltage (mV)
電圧の大きさです。この数値を上げすぎると故障につながると思われることが多いですが、基本的にはグラフィックボード側で故障しないように調整してくれるため、マックスまで上げても問題ありません。
電圧が高いとクロック数を上げやすくなります(オーバークロック)
※ただし、マックスまで上げたところでもし仮に故障したとしても責任はとれません。
②Power Limit (%)
消費電力の上限を変更できます。基本的にはマックスで大丈夫ですが、逆に消費電力を落としたいという人は下げることもできます。
でも下げるとパフォーマンスも下がります。
③Temp Limit (℃)
温度の上限です。こちらもマックスで大丈夫です。
④Core Clock (MHz)
この項目が主にゲーミング性能に影響してきます。
グラフィックボードの動作周波数をいじることのできる項目で、スライダーを上げれば性能が向上します。
でも性能を向上させるのにも限界があり、通常200MHz以上あげるとまともに動作しなくなります。
もちろん中には100MHz上げただけで不安定になり、ゲームが落ちるどころかパソコン事フリーズしてしまうようなグラフィックボードもあります。
実際にパソコンがフリーズしたり変な配色になったことはありますが、パソコンが壊れたことはないです。
以上の理由から、このスライダーは10MHzずつ上げて様子を見るほうがよさそうです。
⑤Memory Clock (MHz)
この項目ではメモリクロックをいじることができます。
でも、メモリクロックはあまりゲーミング性能には影響せず、マイニング等に影響を及ぼします。
気休め程度に上昇させてもいいかもしれませんが、余計に上昇させてしまうと動作周波数のほうが上がりにくくなってしまったり不安定になってしまったりするので上げなくてもよさそうです。
⑥Fan Speed (%)
グラフィックボード本体についている冷却ファンの回転数を制御できます。
100%にすると回転数がマックスになり、音がうるさくなります。ただ、0%にすることができないグラフィックボードが多く、ほとんどは30%程度までしか下げられません。でも30%くらいだったらほぼ音がしないと思います。
デフォルトでは自動制御になっていますが、右下の「Auto」というところをクリックすれば手動で制御することができます。
基本的にはこの項目もいじらなくて大丈夫だと思います。
発熱がすごすぎて性能が上昇しなくなる問題よりも先に、クロック上げすぎて不安定になる問題のほうが先に発生すると思うので、温度についてはあまり気にしなくてもいいかと思います。
そしてこれらを設定したら、右下にある☑マークをクリックすれば適用できます。
赤色で囲っている部分です。ついでに、青色で囲っている部分もクリックして赤枠の状態にしておけば、次にパソコンを起動するときにこの設定が自動で反映されます。
実際に使ってみた
私は以下のような環境で実際に性能アップを試みました。
- CPU:Intel Xeon W3565 3C/8T
- RAM:8GB 1333MHz
- OS:Windows 10
- GPU:Nvidia GeForce GTX 660 OEM 1.5GB GDDR5
- モニター:1920 x 1080 60Hz
GTX 660ですが、もう5年以上は前のグラフィックボードなので性能はお察しです。
それに、通常の2GBモデルではなく、OEM版の1.5GBモデルになります。
この環境で、動作周波数を100MHzだけあげてみました。
そして、「FF14ベンチマーク」と「FF15ベンチマーク」を両方ともまわしました。
FF14ベンチマークは比較的軽く、グラフィックボードによってそこまで差がつきません。
FF15ベンチマークはかなり重く、低性能なグラフィックボードだととことん低い結果になります。なので、グラフィックボードの性能を測るときは一番参考になります。
以下に、それぞれの結果を載せます。
Normalが、周波数を上げていない時で、OverClockが100MHz上げた時の結果になります。
多少性能が上昇しているのがわかります。
ちなみに温度やファンの音は全く気にならないくらいでした。
続いてFF 14ベンチマークの結果です。
こちらも多少性能が上昇しています。でもゲーム内ではあまり体感できないかもしれないです。
グラフィックボードごと買い換えるのが一番の手ではありますが、お金をかけたくなくてあとほんの少しだけ性能を上昇させたいという人はぜひやってみてください。