以前当サイトでは、Windows 10で「RAID 0」を組む方法を紹介しました。
RAIDにはいろいろな種類があり、RAID 0は主に通信速度を速くすることができるRAIDの構成になります。そして今回は、RAID 1の組み方を紹介していきます。
この記事を1文で説明すると
- RAID 1を組んだら、若干データ転送速度が速くなる上に、大事なデータも安全に保存できる
RAID 1とは?
以前はRAID 0について紹介しました。RAID 0は二台に均等にデータを書き込むことで読み書き速度を向上させるといった仕組みになっていましたが、ではRAID 1とはどのようになっているのでしょうか。
せっかくなのでRAID 0と比較しつつ説明していきます。
以上のようになっています。RAID 0では二つのハードディスクに、一つのデータを分散して保存していたので、二つのHDDを組み合わせないと完全なデータになりませんでしたが、RAID 1においてはどちらのHDDにも完全なデータが保存されています。
なお、二台でも三台でもRAID 1は組めますし、SSDでも組めます。
そしてどちらのHDDにも完全なデータを保存することで、どちらかのHDDが破壊したとしてももう一方から完全なデータを取り出すことができます。RAID 0では逆に、どちらが破損してもデータを取り出せないためリスクが二倍になっていましたが、RAID 1についてはどちらかが壊れても大丈夫なのでむしろリスクが半減します。
これがRAID 1の利点になります。重要なデータを保存するデータセンター等で使われている構成です。
欠点としては、HDD二台でRAID 1を組んだとしても保存できるスペースは1台分になってしまうことです。また、いちいち両ドライブに書き込みをするので、高速というわけでもありません。(低速とも限りませんが)
Windows10でRAID 1を組んでみる
それでは実際にWindows10でRAID 1を組んでみます。ちょうど250GBのHDDを二台持っていたので、そちらを使って組むことにしました。
1.RAID 1ボリュームの作成
まず最初に、ウィンドウズキーを押して「ディスクの管理」と検索し、一番最初に出てきた「パーティション~」という項目を選択します。
そして出てきた「ディスクの管理」アプリでRAID 1を組みたいドライブを表示します。この時、ドライブのパーティションはすべて削除し、未割り当てにしましょう。
続いて、どちらかのドライブを右クリックして、新しいミラーボリュームをクリックします。ちなみにRAID 1はミラーボリュームとも呼ばれます。
そして利用可能なディスクからRAID 1を組みたいディスクを選び、右に追加します。そしたら次へをクリックします。
続いてボリュームラベルを決めます。そして「クイックフォーマットする」を選択しましょう。選択しなくても普通にフォーマットできますが、1時間以上かかります。
そして無事ボリュームを作ることができました。
RAID 1を組むことができたら、上のように赤茶色のラベルになります。
ちなみにこの時、通常のボリュームとは違って「ダイナミック」ボリュームになりますが、特に問題はありません。
データ転送速度をテストしてみる
RAID 1については、構成すればデータ転送速度を向上させることができるというわけではないのでその効果を体感するのは難しいのですが、ここではおまけ程度にデータの転送速度を測ってみます。
今回用いたのはディスクのテストソフトの中でもかなり有名な「Crystal Disk Mark」です。
また、RAIDを組んでいない状態のHDDとの比較も行いました。条件は以下の通りです。
比較項目 | HDD (RAID 1) | HDD |
---|---|---|
容量 | 250GB | 250GB |
接続タイプ | SATA 2 (3Gbps) | SATA 2 (3Gpbs) |
メーカー | Western Digital + Samsung | Western Digital |
メーカーが混ざっていますが、容量は全く同じなので特に問題はありません。
そしてベンチマークの結果は以下のようになりました。
なんか誤字っていますが、気にしないでください。SSDとHDDが混ざった感じですね。
RAID 1を組んでも結果は全く変わらないだろうと予想していましたが、思ったより差が付きました。もしかするとまぐれだったのかもしれませんが、シーケンシャルリードで1.5倍近くのスコアをたたき出しています。
シーケンシャルリードは順番にデータを読み込むテストです。
また、上から三番目のランダムリードについては2倍以上のスコアをたたき出しています。このスコアはOSの動作の機敏さに関係してきますので、意外と重要だったりします。
そしてRAID 1の体感での評価なのですが、2台のHDDに書き込むからといってディスクの応答性が悪くなったという感じはしません。プログラムファイルをインストールしてもしっかりと動作しますし、ゲームもできます。
RAID 1はこんな人におすすめ
最後に、これらを踏まえたうえでRAID 1構成はどんな人におすすめなのか説明します。
上のように、RAID 1を組むとディスクの速度が落ちるどころか、むしろ良くなりました。そのため、ディスクが余っているという方はRAID 1を組んでみるのもいいかもしれません。普段使っているときにその恩恵を感じることは難しいかもしれませんが、万が一片方のディスクが壊れてしまっても完全なデータを取り出すことができると考えると非常に安心でしょう。
両方同時に壊れるということはほとんどないと思うので、ぶっちゃけ二台あれば十分だと思います。
ただ、二台で一台分の容量しか使えないということで、SSDでRAID 1を組むのはあまりお勧めできません。
SSDの方がHDDよりも比較的寿命が長かったりするので、SSDについてはRAID 1ではなく、組むとしてもRAID 0の方が良いかと思います。
また、使うディスクのうち、片方がボロボロになっていると足を引っ張ってしまってデータの転送速度に影響が出る可能性がありますので、両方健康なものにしましょう。