Appleが販売しているパソコンといえば「Mac」シリーズです。MacBookシリーズはその中のノートパソコンシリーズになりますが、大きく分けて「MacBook Pro」と「MacBook Air」の二つが存在します。
価格だけ見たらMacbook Airの方が安いのでお買い得かと思ってしまうかもしれませんが、まさか両者の違いが価格だけなはずがありません。
この記事では、Macbook AirとProの違いを専門的な面も含めて解説していきます。
5月5日追記:新しくMacBook Pro 13インチモデルが発売されましたが、この記事では古いモデルで比較しています。新しいモデルでの比較についてはしばらくお待ちください。 なお、新しいモデルについては以下の記事をご覧ください。
【ついに登場】MacBook Pro 13インチ 2020年モデルの仕様を徹底解説
ズバリ! MacBook AirとPro(13インチモデル)の違いとは?
- MacBook Air 2020年モデルが登場してしまった以上、両者の違いはTouch Barの有無程度になってしまい、圧倒的にMacBook Airの方がコストパフォーマンスが高いと考えられる
まず最初に両モデルを比べていきます。ここでは現時点で最新となる2020年モデルのMacbook Airと、2019年モデルのMacbook Pro 13インチモデルを比べていきます。Macbook Proにはより高性能な「16インチモデル」も存在しますが、13インチモデルの方がMacbook Airと比べられる傾向にあるので、13インチモデルのみ紹介します。
見た目の違い
Macbook Air (2020)
Macbook Airは文字通り、とても薄くて軽くなっています。見た目からもその軽さが伝わってきますね。 ただ、年々新モデルが登場する毎にその薄さは進化していますが、一頃ほどMacbook Proとの差は感じられなくなりました。
2010年くらいまでさかのぼるとMacbook Proが厚すぎると感じるくらいMacbook Airが薄かったのですが、最近では薄さの差はほとんどありません。
また、重量の違いもほとんど見られなくなりました。ただ、Macbook Airの方が全体的に丸みを帯びているイメージですのでProに比べてソフトな雰囲気があります。 カラーバリエーションは
ちなみに2019年のMacbook Airには13インチモデルしか存在しません。
カラーバリエーションは写真の通り、三色あります。このうち「シルバー」と「スペースグレイ」に関してはMacbook Proと共通になります。
Macbook Pro (2019)
続いてはMacbook Proになります。先ほども言いましたが、Macbook Proには現時点で13インチモデルと16インチモデルの二つがあります。
二つは価格が大きく違いますが、その分中身も大きく異なります。ですが配色については同じです。どちらのモデルも「シルバー」と「スペースグレイ」があります。
なおMacbook Airでみられた「ゴールド」という明るめの配色は存在しません。
そしてMacbook ProをAirと比べた時、見た目に大きな差が出てくるのは「タッチバーの有無」です。上の写真の16インチモデルを見てもらえばわかるのですが、キーボードの上の方に横長のタッチバーが設置されています。この部分は時にはキーボードの一部になったり、時には編集ソフトの一部になったりと、様々な機能があります。
もちろんこのタッチバーがあれば非常に便利になるのですが、その分コストがかかっています。 タッチバーの右の方にはTouch ID用の指紋センサーが設置されていますが、このセンサーはMacbook Airにも設置されています。
また、Macbook Airが全体的に丸みを帯びていたのに対して、Macbook Proは全体的にかくっとしていてスーパーコンピュータ感を醸し出しています。
Macbook Airが主に女性から人気を集めているのは全体的に丸みを帯びていて「ゴールド」などのカラーバリエーションが存在するからだと考えられますね。
ただ、ハードウェア的な仕様は両者で大きく違いますので、配色で決める前に一度内部の違いも確認しておくべきです。
違いが見られる仕様
それでは続いて内部的な仕様の違いについて説明していきます。先ほどと比べると多少専門的な話になりますが、わかりやすく説明しますのでご安心ください。
処理装置
まず最初は処理装置です。パソコンには「CPU」というパーツが取り付けられていて、この装置がパソコン全体の処理を行います。
つまり、この「CPU」という装置の種類によってパソコン全体の性能が左右されるわけです。そしてMacbook ProとMacbook Airは、この「CPU」という装置の種類が全く違います。
この「CPU」という装置も購入時にオプションで選ぶことができます。そして2019年モデルのオプションは以下の通りです。
モデル | Macbook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
標準CPU | Corei3 | Corei5 |
オプション | Corei5 / Corei7 | Corei7 |
ここではあまりに専門的なのでCPUの細かい型番は控えています。Macbookシリーズに搭載されているのはIntelという会社が作っている「Corei」シリーズのCPUです。
基本的に性能の高さは
Corei3 < Corei5 < Corei7
となっています。
MacBook Air 2019年モデルに搭載されていた「Corei5-8210Y」というCPUは同じCorei5とは思えないほど、MacBook Pro 13インチモデルのCorei5よりも性能が低かったですが、2020年モデルではほぼ同等の性能を保有しています。
にもかかわらず、2020年モデルに搭載されているCPUの方が全体的に消費電力が少ないです。これは新型のアーキテクチャ(Ice Lake 10nm)の恩恵を受けていると言えます。
両モデルの性能は以下のようになります。
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なお、あくまでも予想値になります。
驚くことに、最高構成時にそこまでの違いは見られません。2019年モデル同士だと全く性能が違っていたのですが、MacBook Air 2020年モデルはやはり生まれ変わったようです。
ちなみに両者のグラフィック性能は以下の通りです。
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こちらについても、MacBook Air 2020年モデルが登場する前はMacBook Pro 13インチモデルの方が圧倒的に高かったのですが、なんと驚くことにMacBook Air 2020年モデルが登場して、どっこいどっこいの性能になりました。
しかしながら、最新のゲームを快適にプレイしたいならグラフ中の「GTX 1650」程度の性能は欲しいところですので、両者ともにゲームに向いているとは言えません。
あまり違いが無い仕様
AirとProの間で違いがある仕様について紹介したところで、今度は両者であまり違いがみられない仕様を紹介していきます。
記憶装置
まずは記憶装置です。記憶装置はパソコンにおいて処理装置の次くらいに重要になってくるパーツですが、MacBook AirとPro 13インチモデルの間にそこまでの違いは見られません。見られないどころか、MacBook Air 2020年モデルが登場したことで、MacBook Pro 13インチモデルよりも優秀になっている説すらあります。
ストレージ
ストレージは、写真や動画などを保存するための記憶装置です。ストレージについては容量によって処理性能には影響を及ぼさないということに注意してください。つまり、2TBを搭載したところでゲーム処理が優れるということは全くありません。ただ保存できる場所が増えるだけです。
MacBook AirとProには以下のような違いがあります。
モデル | Macbook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
標準容量 | 256GB | 128GB |
最大 | 2TB (2000GB) | 2TB (2000GB) |
ストレージの標準容量は以前まで両社とも128GBとなっていたのですが、MacBook Air 2020年モデルでは256GBが最低構成となりました。
また、最大容量については差別化?されていたのか、前までMacBook Airでは1TBが最大だったのですが、現在では両社とも同じ「2TB」となっています。
メインメモリ
記憶装置というと写真や動画、アプリのデータ等を保存する装置の事を思い浮かべると思いますが、実はパソコンには写真や動画などを保存していくための記憶装置以外にももう一つ「メインメモリ」という記憶装置があります。
メインメモリの容量は8GBや16GBと、ストレージに比べるとだいぶ少なくなっていますが、かなり高速でデータの通信を行うことができます。そのため、処理装置(CPU)が処理に使うための細かいデータを一時的に保存していくのに使われます。
一度にいろんな作業をする場合やゲームをプレイする場合には、この「メインメモリ」という装置の容量が重要になってきます。
ですがメインメモリについてはMacbook AirとMacbook Pro(13インチモデル)のオプションに差はありません。
モデル | Macbook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
標準容量 | 8GB | 8GB |
最大 | 16GB | 16GB |
どちらも16GBまでとなっています。
ただここで注意したいのは、必要以上にメインメモリの容量を大きくしても処理性能が向上するわけではないということです。
例えばWebブラウジングやYoutubeの動画再生、オフィスソフトの使用などの軽い処理の場合は、メインメモリは16GBあっても無駄です。
恐らく8GB搭載時と全く変わらない性能になるでしょう。 そのため、自分がMacbookを使ってどのような作業をしようとしているのか、しっかりと確認してからオプションを決めましょう。 特にこだわりが無い方は標準オプション(最低)を選ぶべきです。
サイズ・重量
一頃はサイズや重量に大きな違いがみられたのですが、もはや最近ではほとんど変わりません。
モデル | Macbook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
サイズ(高x幅x奥) | 1.61 x 30.41 x 21.24 cm | 1.49 x 30.41 x 21.24 cm |
重量 | 1.29 kg | 1.37 kg |
衝撃的なのですが、Macbook Pro 13インチモデルの方がMacbook Airよりも薄くなっています。一体数年前のあのProとAirの厚みの違いはどこにいってしまったのでしょうか。 Proの性能が欲しいけどどうしても分厚くて… そんな悩みもありましたが、今ではProの性能をAirの厚みで手に入れることができます。
ただ、あまり体感はできませんがAirとPro 13インチモデルの重量の差は一応あります。
ただ処理装置の違いに比べるとサイズや重量の違いは無いようなものなので、「軽いから」や「コンパクトだから」という理由でMacbook Airを選ぶ時代はもう終わっているでしょう。
バッテリー・充電
バッテリーや充電については大きく違います。おそらくMacbook AirとProで最も差が出ている部分でしょう。
モデル | MacBook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
バッテリー容量 | 49.9Wh | 58Wh |
持ち時間* | 最大11時間 | 最大10時間 |
充電電力 | 30W | 61W |
*ワイヤレスインターネット閲覧継続可能時間
申し訳程度にバッテリー容量も載せましたが、先ほど紹介したようにモデルによって搭載されているパーツの消費電力が全く違うわけですから、この「バッテリー容量」についてはあまり気にしなくて大丈夫です。そして結果的に持ち時間は似たような感じになっています。
しかし充電する時の電力は異なります。Macbook Airは省電力かつバッテリーの容量が少ないので少ない電力で充電を行うことができます。 30Wであれば一部のモバイルバッテリーからも充電することも可能です。
ですがMacbook Proシリーズの充電電力はAirの二倍以上となっています。そのためMacbook Proシリーズについてはコンセントからの充電が基本になります。 この点、MacBook Airの方が優秀と言えるでしょう。
ディスプレイ
Macbook AirにもPro 13インチモデルにも13.3インチのディスプレイが搭載されています。仕様としては以下の通りです。
モデル | Macbook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
ディスプレイサイズ | 13.3インチ | 13.3インチ |
アスペクト比(横:縦) | 16:10 | 16:10 |
最大解像度 | 2,560 x 1,600 | 2,560 x 1,600 |
ppi(ドット密度) | 227ppi | 227ppi |
備考 | True Toneテクノロジー | 最大500ニトの輝度 広色域(P3) True Toneテクノロジー |
サイズは同じで縦横比も全く同じです。そして解像度も同じということでドットの密度も全く同じです。
ただ、Macbook Proには若干良いディスプレイが搭載されています。上の表を見てもらえばわかるのですが、輝度(明るさ)が高く、色もより鮮やかとなっています。
状況によっては両モデルのディスプレイ違いが感じられるかもしれませんが、私が家電量販店でじっくり見ていたところ、ほとんど差は感じられませんでした。
なので、「MacBook Proの方がディスプレイがきれいだから」という理由で購入するのはあまりおすすめしません。処理性能を求めてMacBook Proにしたら付属的にディスプレイがきれいだった、くらいのスタンスが良いでしょう。
拡張性
上の図はMacbookの拡張性を表しています。Thunderbolt 3という端子は「USB Type-C」の形をしていて、USBとしても使うことができます (USB 3.1 Gen 2)
Macbook AirとPro 13インチモデルの一部は左のように片方にのみUSB端子があり、もう片方にヘッドフォン端子が存在します。
そしてMacbook Pro 13インチモデルの一部のオプションでは右のように両側に2つずつ、計4ポートのUSBを設置することができます。
端子が多い方が、たくさんのデバイスをつなごうとしているときには非常に便利なのですが、別にMacbook Proの方が高速通信ができるというわけではありません。
以下のUSBハブ等を使えば端子を増やすことができるので、拡張性についてMacbook AirとPro 13インチモデルの違いはほぼないと言えるでしょう。
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通信・カメラ・サウンド
Macbook AirとProで、Wi-FiやBluetoothなどの無線通信に違いはありません。
また、搭載されている内カメラもどちらも「720p」となっていて変わりません。ビデオチャットでは全く支障にならないレベルの解像度です。
サウンドについては、これまたMacBook Proの方が「ハイダイナミックレンジ」という良いスピーカーを搭載しているのですが、私の耳にはあまり差は感じられませんでした。
正直ノートパソコンですので内蔵スピーカーには限界があります。音にこだわりたい人は外部スピーカーを使うのが最適でしょう。
OSや標準アプリケーション
両者ともに最新のMac OSがインストールされています。代理店によって異なる場合がありますが、基本的に両者の標準アプリケーションは同じです。標準アプリケーションとは、出荷時にインストールされているプリインストールアプリの事です。
そのため、両者に処理性能の違いは見られるものの、使えるアプリに差はありません。
また、Appleによる保証にも差はありません。
まとめ
それではここらへんでまとめに行きましょう。
ここで一度、両者の価格を確認します。(税別)
モデル | Macbook Air | Macbook Pro 13 |
---|---|---|
最低 | 104,800円(8GB,256GB) | 139,800円(8GB,128GB) |
(16GB,1TB,i5) | 174,800円 | 262,800円 |
最高構成時 | Corei7-1060NG7 , 16GB , 2TB | Corei7-8569U , 16GB , 2TB |
最高構成時価格 | 229,800円 | 336,800円 |
MacBook Air 2020年モデルでは値下げが行われ、ストレージ容量が増えたのにもかかわらず最低構成で104,800円となりました。
しかもおそらくMacBook Pro 13インチモデルのCorei5と、MacBook AirのCorei5の性能はあまり変わらないので、MacBook Air 2020年モデルの方がかなりコストパフォーマンスが良いと言えるのかもしれません。
- Macbook Air
・少し丸みを帯びたデザインが好き、あるいはどうしてもゴールド配色を好む人。
・外に持ち運んで使うことが多い人
・コスパを重視する人
- Macbook Pro
・かくっとしたデザインが好きな人。
・より重たい処理を行う人
・あまり外に持ち運ぶ予定が無い人
このような感じです。以上のように、両者の違いは価格以外にもたくさんありますので、ただ安いからという理由でMacBook Airを購入したり、万能そうだからという理由でMacBook Proを選ぶのは控えておきましょう。
ちなみに先ほども説明した通り、MacBook Air 2020年モデルが登場した以上、今は「MacBook Air」の方が圧倒的に買いです。
なお、この記事ではMacbook Pro 16インチモデルについては言及していません。Macbook Proについては13インチモデルと16インチモデルの間に大きな差がありますので、そちらについてはまたの機会に説明します。