パソコンを操作するにあたって必要になってくるのは「モニター」です。もともとモニターが付いている「ノートパソコン」ならいいのですが、デスクトップパソコン等を購入したらモニターについても考えなければなりません。
そこでこの記事ではモニターを選ぶ際に重要になってくる「ディスプレイ方式」について説明していきます。
ディスプレイ方式について
なぜこのBableTechがこの記事を作っているのか、理由は簡単です。パソコン用ディスプレイの方式は一種類だけではなく、目的に合わせて数多くの種類が存在するためです。 そしてそれぞれ特性も異なれば価格も異なります。そのため、自分の使用用途に合ったディスプレイ方式を選ぶ必要性が出てくるのです。
この記事では主にパソコン用モニターに採用されている以下の4つの方式について解説します。
- 液晶
- TN方式
- VA方式
- IPS方式
- 有機EL
液晶ディスプレイ
まず最初は液晶ディスプレイについてです。
これはすべての液晶ディスプレイに当てはまる共通の仕組みです。
液晶ディスプレイではLED等のバックライトを背面から照射して、その量をピクセル単位で調節して三原色のカラーフィルターに通し、色を作っています。
そして液晶ディスプレイの「TN」「VA」「IPS」などの方式では、この図の「液晶」の部分の仕組みが異なっています。
TN方式
難しいので細かい仕組みについては省略しますが、TN方式の主な特徴は以下のようになっています。
- メリット
- 駆動電圧が低い
- コストが低い
- 比較的応答速度が速い
- デメリット
- 視野角が狭い
あまり気にする必要が無いことですが、TN方式は動作電圧が比較的低くなっています。そのためディスプレイ本体が熱くなりにくい傾向にあります。
また、コストが低いことからも多くのノートパソコンや、デスクトップパソコンに付属するディスプレイに採用されています。
そして応答速度が比較的速いというのも一つの特徴です。
[dic term=”ディスプレイの応答速度”]
つまり応答速度はいかに残像が発生しないかを表す指標みたいなもので、激しい景色の変化が多い「3Dゲーム」などで重視されます。 そのため、多くのゲーミングモニターはこの方式を採用してきましたが、最近では他の「IPS」などの方式でも十分に応答速度が速くなってきているので正直TNモニターを使うメリットはあまりありません。
デメリットとしては「視野角が狭い」というのがあります。これが結構致命的なものです。最近のTN方式液晶はかなり改善されてきているみたいですが、私が使っているTNモニターにはそのデメリットが顕著に表れています。
今私が使っているパソコンのモニターになりますが、上のモニターがTN方式となっていて、視野角が非常に狭いです。 要は下から見た時に色が変になります。下から見ると全体的に黒っぽく見えますね。
上から見た時もなかなかのものです。今度は真っ白になっています。
正面から見ると割と発色が良いのですが、視野角が狭いせいで発色に関してはあまり良い印象が無いです。この例は少し大げさかもしれませんが、TN方式っていうのはこういうことです。
VA方式
VA方式は三種類の中だとかなり希少な方式になります。
- メリット
- コントラスト比が高い
- デメリット
- 視野角が狭い
VA方式の一番の特徴はコントラスト比が高いことです。
[dic term=”コントラスト比”]
そのため、VA方式のディスプレイははっきりと発色してほしいときに有用なディスプレイになります。しかしながらこちらもTN方式と同様に視野角の問題を抱えていますので、マルチモニター環境を作るとき等はあまりお勧めできません。 というかそもそもVA方式のディスプレイ自体かなり少ないです。
★こんな人におすすめ
- 映画鑑賞等を楽しみたい人
IPS方式
細胞の話ですか?って感じですが、こちらはディスプレイの方式になります。IPSは最近主流になっているディスプレイで、多くの人から支持を得ています。
- メリット
- 視野角が広い
- 発色が良い
- デメリット
- コントラスト比が比較的低い
- コストが若干高い
IPS方式の最大の特徴は視野角が広いことです。先ほどTN方式について説明したときに私のTNモニターとIPSモニターの違いがわかる写真を載せましたが、それを見ていただければわかるように下から見ても上から見ても横から見ても、色がはほぼ変化していません。
そのためマルチモニター環境で様々な角度からモニターを見ることになっても色が変になることはなく、全体として発色が良い印象を受けます。 デメリットとしてコントラスト比が比較的低いというのがあるのですが、最近では他のディスプレイとの違いはあまり感じられません。
また、コストについても最近ではTNモニター等と同じくらいの価格で販売されていることもしばしばあります。
特にこだわりが無い人はIPS液晶が一番良いと思います。いや、むしろこだわってもIPS液晶に落ち着くかと思います。
★こんな人におすすめ
- 様々な角度からモニターを見る人
- 特にこだわりが無い人
液晶ディスプレイの主な種類は以上になりますが、最近では液晶のバックライトとして小さいLEDを用いる「ミニLEDディスプレイ」というものも注目されてきています。
ミニLEDディスプレイについては以下の記事をご覧下さい。
有機ELを超える? 新技術「ミニLEDディスプレイ」を徹底解説【図解】
また、更に小さいLEDを用いる「マイクロLED」というディスプレイも開発されつつあります。
マイクロLEDディスプレイとは? メリットから仕組みまで【図解】
有機ELディスプレイ
有機ELディスプレイは液晶とは異なり、バックライトを使用しません。各ピクセルに自発光有機材料と呼ばれるものが設置されていて、電気を流すことによって三原色を再現できます。
液晶ディスプレイで視野角問題が発生するのは液晶というパーツの特性上仕方のないことだったのですが、有機ELについてはバックライトの光量を調節しているわけでもないので、見る角度によって色が変わるということはありません。
- メリット
- 視野角が非常に広い
- コントラスト比が高い
- 薄型にできる
- デメリット
- コストが非常に高い
- 画面の焼き付きが発生しやすい
- 白が少し苦手
バックライトや液晶などのパーツが存在しないので薄型にすることができ、柔軟性も確保することができます。
また、黒を再現する時は完全に発光をオフにすることができるので、コントラスト比が高くなっています。しかし逆に白色が少し苦手なので、輝度を高くしにくいというデメリットもあります。
そして有機材料を使っているために発生する有機ELディスプレイ特有の「焼き付き」が起きやすいのもデメリットの一つです。
例えばこちらは友達が持っているiPhone Xの画面になりますが、白いページを表示しているのにも関わらずアプリの跡が残っているのがわかります。せっかく非常に良い発色を再現できる有機EL方式なのに、こうなってしまっては少し残念ですよね。
また、コストが非常に高いこともあって大画面化が難しくなっているのでパソコン用モニターではほとんど採用されていない方式になります。
★こんな人におすすめ
- 色にかなりのこだわりがある人
- 予算に余裕がある人
- ずっと同じ画面を表示させない人