ノートパソコンやスマートフォン、テレビ、カーナビなどいろんなところにディスプレイは使われています。その種類は液晶、有機ELなど様々ありますが、そんな中「ミニLED」を用いたディスプレイが有機ELを上回って普及するかもしれないと言われています。 また、Appleの新型MacbookやiPadにも採用されるだろうと言われています。
この記事では「ミニLED」について図を用いて徹底解説していきます。
この記事を1文で説明すると
- 液晶、有機EL方式の良いトコ取りな「ミニLEDディスプレイ」だが、生産コストの高さなどから普及していくにはまだ時間がかかりそうである。
ミニLEDとは?
ミニLED以前に、液晶、有機ELについてもよくわからないという人もいるかもしれませんが、一旦ミニLEDについて説明します。
ミニLEDとは、小さいLEDのこと
LEDと言われたら誰でも知っていると思います。LEDというのは発光ダイオードのことで、青、緑、赤色すべての種類の色を発光できます。

みなさんがイメージするLEDといったら以上のような感じかもしれませんが、ミニLEDというのは非常に小さいLEDで、以下のようなイメージです。

https://limo.media/articles/-/9614 より
もはや一つ一つが小さすぎて何がなんだかわからないと思います。
ミニLEDというのは直径が100μm〜200μm程度のLEDのことであり、薄さについても通常のLEDよりは比べ物にならないくらい薄いです。
※1μm=0.001mm
もちろんLEDはLEDですので、青色、赤色、緑色、白色などいろんな色を発光させることができます。
そして、この後詳しく説明していく「ミニLEDディスプレイ」は、このミニLEDを使っているディスプレイ、というだけの話です。
ちなみにマイクロLEDもある
このテーマではあまり関係ありませんが、一般的に100μm未満のLEDを「マイクロLED」と呼び、こちらの方がミニLEDよりも、より小さくなっているため更なる技術として開発されています。
マイクロLEDについては以下の記事をご覧ください。
マイクロLEDディスプレイとは? メリットから仕組みまで【図解】
液晶、有機EL、ミニLEDディスプレイを比較
それでは様々な種類のディスプレイを比較してみましょう。
1、液晶ディスプレイ

この方式が最もよく使われているでしょう。最近発売されたiPhone11もこの方式をとっていますし、多くのテレビがこのような方式をとっています。
比較的小さなLEDをバックライトにし、カラーフィルターに光を通過させるにあたってそれぞれのフィルターの光量を調節することで1画素で1つの色を再現できます。
この図はかなり簡素化しているものですが、真ん中にある「液晶」と呼ばれる部分で光の量を細かく調節し、フィルターを通過する光の量を調節します。
- メリット
- 低コスト
- 白色が美しい
- デメリット
- 厚い
- 黒色が灰色っぽくなる(バックライトが漏れてしまう)
- カラーフィルターを通すため消費電力が比較的多い
色が漏れてしまう問題については、バックライトの光量を調節するなどして少しだけ改善されていたりもしますが、1つのLEDが大きすぎて1つで数々のフィルターをまかなう形になるので調節がしにくいという課題があります。
2、有機ELディスプレイ

続いては有機ELディスプレイについてです。こちらについては聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。最近発売されたiPhone11 Proシリーズや、Apple Watchなどに採用されています。
有機ELディスプレイでは、文字通り「有機物」を使います。有機物は有機物でも、電気を流すと発光する性質をもつ有機物です。
液晶ディスプレイのように、バックライトを用いるのではなく、一つ一つの点を描画する「画素(ピクセル)」自体が発光します。
- メリット
- 黒色では発光しないため、真の黒を表現できる
- カラーフィルターもなく、必要最低限光るため消費電力は少ない
- 薄く設計できる
- ディスプレイを曲げられる(柔軟性)
- 見る角度によって色が変わったりしない(視野角)
- デメリット
- 有機化合物特有の「画面焼け」が発生しやすい
- コストが高く、大画面化も難しい
- 黒とは逆に、白色の発色が少し苦手
ちなみに私が持っていたSonyの「PS Vita PCH-1100」というゲーム機は有機ELディスプレイを採用していて、とても綺麗な印象でした。
3、ミニLEDディスプレイ
実はミニLEDを採用したディスプレイは大きく分けて二種類あります。
一つはバックライトにミニLEDを採用した方式で、もう一つは画素自体をミニLEDで構成する方式です。

先ほどの有機ELディスプレイに非常によく似ています。
バックライトを使わずに、赤色、緑色、青色それぞれのミニLEDが画素自体になることで、有機ELディスプレイと同じ効果を得ます。
なお、ミニLEDでこの方式のディスプレイを作ろうと思うと1つの画素が大きくなってしまうので、一般的には「マイクロLED」によって実現される方式となっています。ちなみに三原色ということで1画素につき3つの(赤・緑・青)LEDが必要になってきますので、例えば4K(3840×2160)ディスプレイだったら
3840 × 2160 × 3 = 24,883,200 (約2千500万個)
これくらいのLEDが必要になってきます。1画素ずつライトをコントロールすることができる上に、全体としてLEDの個数が増加しますのでコントラストを高くすることができ、輝度の向上も見込めます。
なお、その分コストもかなり高くなるでしょう。
- メリット
- 白色・黒色がきれい(コントラストがかなり良い)
- 画面が焼けにくい
- 薄く設計できる
- 輝度がかなり高い
- ディスプレイを曲げられる(柔軟性)
- 見る角度によって色が変わったりしない(視野角)
- デメリット
- とにかくコストが高い

こちらはどちらかというと最初に紹介した液晶ディスプレイに似ています。
ですがバックライトにミニLEDを用いているので、より細かくバックライトの調整を行うことができます。1画素につき1つのバックライトがあるとは限りませんが、通常の液晶ディスプレイに比べると限りなく細かいため、黒色の部分でバックライトを切るなどしてコントラストをより高めることができます。ちなみにこの個別でバックライトを調整することを「ローカルディミング」といいます。
ただし、先ほどの「画素としての用法」や、有機EL方式ほど黒を黒っぽくすることはできません。ですが、有機EL方式は逆に白が苦手だったりするので、結果として有機ELディスプレイくらいのコントラスト比を実現することができるでしょう。
ちなみにミニLEDを用いたディスプレイのほとんどはこの方式が採用されています。先ほども説明した通り、ミニLEDは画素として用いるには少し大きすぎるので基本はバックライトとしてしか用いられないようです。
先ほどの「画素としての用法」では、4Kディスプレイに2,500万個ものLEDが必要になってきましたが、バックライトとしての用法では4Kディスプレイにしても多くて数万個程度です。1画素に1つと決まっているわけではないのでその個数はバラバラですが、おおむね数万個程度です。
なので、通常の液晶ディスプレイと比べたらコストが高くなるものの、画素としての用法よりはコストがかなり抑えられるでしょう。
- メリット
- 白色・黒色がきれい(コントラストが良い)
- 画面が焼けにくい
- 薄く設計できる
- 輝度が高い
- デメリット
- コストが比較的高い
このような感じです。
ミニLEDディスプレイ、どう普及していく?
有機ELディスプレイが普及しつつあるのは事実ですが、それではミニLEDディスプレイはどう普及していくのでしょうか。
そもそも有機ELディスプレイと比べた時に、「画面焼けが起こりにくい」などの利点はありますが、コストが高すぎるという問題の方が大きいように感じます。
ミニLEDを用いた巨大なディスプレイの普及にはかなりの時間がかかりそうです。
また、冒頭で話したようにAppleが次世代のMacbookやiPadなどでミニLEDディスプレイを採用するという話も浮上しているわけですが、この背景には画面焼き付き問題の他にも、有機ELディスプレイにおけるSamsungへの依存度問題の解決も存在しています。
つまり、Appleが導入するとしてもそれはミニLEDの方が圧倒的に有機ELディスプレイよりも優秀であると判断して導入したとは限らないということです。
そのため、Apple以外のメーカーで広く普及していくには、ミニLEDを低コストで生産できるようにする必要があり、まだ時間がかかりそうです。
なお、最近MSIが世界初のミニLEDディスプレイ搭載ノートパソコンを発表したことで話題になっていますね。この調子で、まずは小さいサイズのディスプレイを中心にミニLEDディスプレイが普及していくでしょう。
関連記事:2020年のMacbook ProはiPhoneよりも綺麗になるという話【ミニLED搭載】
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